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第4話
翌日。伊織は副支配人から声をかけられた。
「高杉くん、今日は裏に回ってくれる?」
一緒にいたユキが理由を尋ねると、なんでも昨日の半日だけで例の年配の女性含む4件、伊織にあれこれと声をかけてくる客がいて、その度周りが対応に追われてしまうので、とのこと。
「ったく、お前ってやつはどこへ行っても…」
不機嫌そうに口を歪めて伊織を見るユキ。
「役に立たなくてごめん…」
「バカ、そういう意味じゃあねえよ」
副支配人がいる前なので、これ以上は言えなかった。
お前は、どこへ行ってもモテすぎて、俺は気が気じゃないんだ、と。
この日伊織は郵便物の仕分けから、厨房の盛り付け、ベッドメイクなど、あらゆる雑用を言いつけられた。
前日のように同じことを繰り返しているだけではないので、なかなか大変だ。
あっという間に休憩時間になり、伊織は思い出した。
プレゼントを買うなら今しかない。
でも、土地勘もないこの地で、どこに買いに行けばいいのか。
休憩時間は1時間。こうして悩んでいる間にも時間は過ぎていく。
どうしよう…
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