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第24話

 朝になり、ホテル内のいろんなところへ別れの挨拶に回り、二人はいよいよ寮に戻ることに。 佐倉の運転で、駅まで送ってもらうことになった。 和成と花音も同乗して見送りだ。  ちゃんとユキと伊織が隣どうしで座っているのを見て、和成は安心する。 どうにか解決したようだ。が。 「ユキ兄、唇どうしたの?」 あけすけに花音がきくので、ユキは赤くなりながら忌々しげに 「ヒゲ剃ってたら切ったんだよ」 と吐き捨てた。 だが和成にはその嘘の真相がわかった気がして、口に拳を当てて1人ニヤけた。 「長い間お世話になりました」 駅に着き、伊織が頭を下げる。 佐倉も、和成も、花音も、笑ってはいるが名残惜しそうだ。 「また年末には戻っておいで、2人でね」 和成がユキに向かって言った。 ユキは決まり悪そうに目を泳がせている。  車を降り、改札へ向かう2人。 車内からその姿が消えるまで見送っていると… 「え、ちょっとあれ、えっ、何で?!」 花音が目を白黒させて叫ぶが、和成と佐倉は目を見合わせて、肩をすくめて笑った。  伊織の腰には、ユキの手が回っていた。 【おわり】

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