24 / 25
第24話
朝になり、ホテル内のいろんなところへ別れの挨拶に回り、二人はいよいよ寮に戻ることに。
佐倉の運転で、駅まで送ってもらうことになった。
和成と花音も同乗して見送りだ。
ちゃんとユキと伊織が隣どうしで座っているのを見て、和成は安心する。
どうにか解決したようだ。が。
「ユキ兄、唇どうしたの?」
あけすけに花音がきくので、ユキは赤くなりながら忌々しげに
「ヒゲ剃ってたら切ったんだよ」
と吐き捨てた。
だが和成にはその嘘の真相がわかった気がして、口に拳を当てて1人ニヤけた。
「長い間お世話になりました」
駅に着き、伊織が頭を下げる。
佐倉も、和成も、花音も、笑ってはいるが名残惜しそうだ。
「また年末には戻っておいで、2人でね」
和成がユキに向かって言った。
ユキは決まり悪そうに目を泳がせている。
車を降り、改札へ向かう2人。
車内からその姿が消えるまで見送っていると…
「え、ちょっとあれ、えっ、何で?!」
花音が目を白黒させて叫ぶが、和成と佐倉は目を見合わせて、肩をすくめて笑った。
伊織の腰には、ユキの手が回っていた。
【おわり】
ともだちにシェアしよう!