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第13話 酔いどれの告白3
(なごみ語り)
「大野君、今日は彼女連れてないの?あの髪の長い可愛い子」
「ええっ……まぁ……別れましたから」
「あらまぁ、言い難いこと聞いてごめんなさいね」
飲み物を運んできた女将さんが大野君に聞いた。大野君はノンケだし、格好良いから彼女はいるだろう。彼の雰囲気に惹かれる女の子は沢山いると思う。僕も大野君がどんな女の子が好きなのか知りたくなった。他人の恋愛話を聞けば、気持ちも明るくなるかもしれない。
「僕も彼女の話が聞きたい。どんな子?」
「えっ、なごみさんまで……うーん……」
大野君は慌ててしどろもどろになったが、僕の顔色を伺うようにゆっくりと話し出した。
「もう……彼女じゃないですけど、なごみさんの部の……佐々木さんと……付き合ってました。言っときますけど、別れましたからね。もうただの他人です」
「佐々木さんと??あの、佐々木さん?」
大野君の相手が僕の知ってる人で、しかも毎日仕事をしている人とは、かなり驚いた。
世間は結構狭いようだ。
佐々木さんは色で例えるとパステルピンクのような、頭にいつもリボンを付けて、ふんわりしたスカートを履き、男の人に媚びるような話し方をする女の子だ。
僕にも媚びるように話してくるけど、自分には全く効かない。何故ならあの種類の女の子は虫酸が走るくらい嫌いだからだ。
ふうん。大野君の趣味は佐々木さんか……
ちょっとガッカリした。
女の部分に惹かれて、欲に流されてしまう悲しい男の性が見えた気がした。
「だから言いたくなかったんです。その軽蔑の眼差し。なごみさん、佐々木さんのこと良く思ってないですよね。しかも俺が振られたんですよ。かっこわるい」
「何も言ってないよ。ちょっと当たってるけど」
それを聞いた大野君が項垂れてカウンターに突っ伏した。しょうがないよね、男なんだし、欲には正直でないといけないだろう。
「あの、俺も聞きたいことがあります」
ガバッと大野君が起き上がった。
「なごみさんは彼女がいるんですか?」
何て答えよう……
嘘をつくか、本当のことを言うか。勿論ゲイなのは明かすつもりは無いが、恋人について知りたいなら教えてもいいかな。
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