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第15話 酔いどれの告白5

(なごみ語り) 結局、大野君が泥酔した。 何回聞いてもまともな返答がもらえず、彼の家の場所は最後まで分からなかった。悩みに悩んでしょうがなく僕の家に連れて帰ることにした。泥酔者を放って帰るほど無情でもなかった。 「大野君、タクシー乗れる?足上げて」 「ふぇーい、なごみさん………ありがとうございやす……かえりやす……」 大野君を半分担いでタクシーに乗る。僕より背も高いし体格も大きいから重いし、何より酔いが覚めてる僕に反して酷く酒臭かった。 30分ほど走って、僕の家へ着く。彼は車窓に凭れてうつろうつろしている。この時ばかりは僕の家が一階でよかったと思った。 「大野君、少しでいいから歩いて」 「…………へぇ…………」 ふらふらの大野君を支えて、家のドアを開けた。ドアノブに渉君の差し入れが掛かっていたので、それも受け取る。 靴を脱がして、引きずるように誘導し、やっとの思いでソファに横にさせた。 はぁ、疲れた。久しぶりに汗をかいている。 大野君は途中から半分寝ており、乱暴に横にしたまま夢の中に居るようだった。酒癖は悪くないけど、弱い。弱いくせに飲みすぎだ。大野君に毛布をかけて、僕はスーツの上着を脱いだ。 はぁ……酔っ払いを家に連れて帰ってきてしまった。 これは、いつ起きるのだろうか。 何をしても起きないから、いつまでも寝ていそうな気がする。これ以上動かすことも出来ないので、自ら気を戻すまで放置しておくしか術が無かった。 僕は上着をハンガーに掛けて、シャワーを浴びる。 大野君が起きたら、知らない家にパニックになるだろうと、想像して少し笑った。 僕も疲れていたので、早々に寝ることにした。 寝る前に大野君を覗くと、さっきから微動だにせずいびきをかいて気持ち良さそうに寝ている。ピンとほっぺを弾くと、くすぐったいのか手で拭っていた。 ふふふ、生きててよかった。 喉が渇くであろう酔っ払いのために水を用意して、念の為の間接照明も付けた。 「おやすみなさい。大野君」 そうして、僕はベッドに潜り込んだ。数メートル離れた距離で他人が寝ている不思議な空間で目を閉じる。 夢を見ていた気がした。 誰だろうか、諒かな?違うかな? 遠くで僕を呼んでいる……。 はっと起きると、目の前に大野君がいた。 正確に言うと彼の腕の下に組み敷かれていた。 動けない……

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