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第28話 なごみと渉4
(なごみ語り)
それから、渉君とはいつも通りの土曜日を過ごした。夜もご飯を作りに来てくれたし、寝るまで側にいてくれた。
渉君と居ると安心する。あまりに落ち着くものだから僕は頼りきっていた。こんなに甘えていていいのだろうか、と申し訳ない気持ちになる。渉君はおせっかいでやってることだから気にしないでといつも言うのだった。
恋人の形は色々あるとは思う。10組カップルがいたら馴れ初めも関係性も全て違う。もしも僕が渉君と長い時間を掛けて恋人になったら、それはそれでいいのだと思う。諒と一緒に居た時のように感じた身を焦がすような愛しさや、狂おしい位の欲情が無くても恋人は成立する。
人の感情や好みは変化するものだから、僕も変わっていく時期なのかもしれない。渉君と彼の作ったご飯を食べていてそう思った。
渉君が可愛く見える。それが僕の男の部分に響いて、彼を守ってあげたくなった。
いつが渉君ともあるかもしれない。
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