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第29話 大野となごみ1
(なごみ語り)
ここ数日、社内が慌ただしい。
理由は新しいプロジェクトが立ち上がるからだ。国内外から沢山の来場者が見込まれる長期のイベントに、うちが使われることになったのだ。
うちの会社はイベント等の施設全体を運営する仕事をしている。照明から、空調、警備、要望があればインテリアも請け負う。最近になって家具は自社ブランドを立ち上げるまでに成長した。どこに頼めばいいのか分からない顧客のために、予算に応じた会社を紹介し、場合によってはイベントの終わりまで付き合う。イベントだけでなく、契約先はオフィスやレストラン、と多岐に及ぶ。
そして何故か営業でもない僕がプロジェクトの一員に選ばれたのた。課長が言うには営業マンのサポートに回ってほしい、とのことだが、正直これ以上忙しくなるのは勘弁して欲しかった。
通常業務に加えて、プロジェクトの仕事。
毎日が残業三昧になると、ため息が出た。
それにプロジェクトには大野君もいる。
彼にはあの日から顔を合わせていない。
明日、一緒に視察に出掛けるが、いつも通り平常心で会えるだろうか心配になった。
大野君の気持ちをはぐらかしてから、無駄に意識をしてしまう。 どうも大野君が相手だと自分のペースが保てなくなるようだった。
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