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第52話 コンビニ店員

(コンビニ店員中村誠語り) 2月になった。 バレンタインが近くて、何にもないのに意味も無くそわそわしている。 この間、友達に誘われて生まれて初めて合コンというものに参加した。間近で見る女の子達は可愛かった。 恋愛と楽しいことのために生きていて、ふわふわしていて、笑うとその場が柔らかく包まれる。抱き心地も良さそうだ。おっぱいもあるし。 彼女たちの色とりどりの爪を見るたびに、なごみさんの細い指が俺の頭に浮かんだ。なごみさんの指は本当に綺麗な形で、手を繋ぐことができたら、たぶん俺は感涙すると思う。 女の子を見ながらなごみさをんと比べている自分に気付き、ホモになったかもしれないと真剣に悩む。悩んでも、頭からなごみさんのことが消えるどころか、ますます魅了されているようだった。 そんなある土曜日の夕方、なごみさんがコンビニにやって来たのだ。 時々仕事帰りに寄ってくれて、他愛のない話はしている。お金を払うなごみさんの指を見ては、うっとりして、後で自慰の対象にしていた。 俺は救いようの無いクズだと思う。 そして、想像の中でしかなごみさんに気持ちを伝えることができない弱虫でもある。 休日に、しかもなごみさんが1人では無いことに激しく衝撃を受ける。とうとう新恋人が現れたかと思った。それくらい2人は仲が良さそうで、まるで双子のように雰囲気や着てる服も似ているのである。 前に一緒にいた男の人と全然タイプが違っていた。 なごみさんは、『渉君』と呼んでいた。

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