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第102話 悪い予感2
(渉語り)
「……あ……んっ、あぁ……」
「……洋ちゃん…あ…ゆっくり…」
今日は自分が上に乗ると言って、僕に跨り妖艶に自ら腰を振っている。
新しいベッドのスプリングがまだ固めで、洋ちゃんが動くたびに弾むように揺れた。彼の中は凄く気持ちがいいし、僕ので蕩けそうになっている姿を見ていると、とても興奮する。下から一気に何度も突くと、堪えるの必死な洋ちゃんの喘ぎ声が小さな悲鳴に変わっていった。洋ちゃんが先に白濁液を飛ばすのを見守ってから、少しして僕も果てる。
真昼間から交わった僕たちは、敷いていたバスタオルを洗濯機に入れ、シャワーを浴びて新しいベッドに潜り込んだ。
しっかりと乾かした筈なのに、洋ちゃんの髪は少し湿っている。それが気になって手で梳くと、柔らかい焦げ茶色の束が指に絡まった。彼の髪質は羨ましいくらいに艶がある。
外は暖かく天気も良い。
ベッドからは冬のものとは違う濃さを含んだ青空が見えた。2人で抱き合いながらくっついていると、段々心地良い眠気に包まれる。
洋ちゃんに感じている違和感は気のせいで、僕の勘違いなのかもしれない。この幸せはこれからもずっと続くんだと、そう思いたかった。
「洋ちゃん、晩御飯何する?何食べたい?」
「…………ん、何にしようか……」
あ、まただ。
会話に合わせるフリをして、全く心がない返事だ。こうなると何を聞いても、そつのない返答ばかりする。裏を返せば典型的な会話しかしない。
そして、時折見せる何か別のことを考えている表情は、僕が入る隙間を与えてくれなかった。
「少し寝たら、ヒデさんの店に行ってみない?
あれから行ってないでしょう。軽くご飯食べて行こう。ヒデさん、洋ちゃんを気に入ってたから喜ぶよ」
「………うん。そうだね、そうしよう」
洋ちゃんがこちらを向いて、僕の脇の下に額を擦り付けてきた。その仕草が可愛くて、まるで猫のように思えてくる。
ぎゅうと抱きしめていたら、いつの間にか2人で丸まって眠っていた。
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