134 / 270

第134話 2人のルール11

(大野語り) 挿入するまでは、なごみさんも余裕がある感じだったのに、俺が腰を振り始めると、顔を手のひらで隠してしまった。強く噛んでいる下唇だけが見える。 何かを堪えているようだ。 サクランボみたいな、ぷるんとした赤い唇が傷ついてしまう。 「……なごみ、さん、隠さないで。声、抑えてるでしょ……」 赤い顔で俺を見る目は潤んでいた。 なごみさんの中はキツくて、腰を動かす以前に、俺に巻きついて離そうとしてくれなかった。だけど、痛くないのかが気になる。受け入れる時の苦痛な表情が忘れられなかった。 それに元々挿れるためのところではない。 俺ばっかり気持ちよくても、そんなのセックスじゃない。テクニックとか正直俺には無い。経験も薄っぺらい。だけど、あなたを想う気持ちは誰にも負けないよ。 手元にあったローションを更に繋がりへ垂らした。ぐちゅぐちゅと水音が辺りに響く。 まだ隠している顔を見つめながら、なごみさんの勃っているモノに手を伸ばした。 前を扱きながら、ゆっくり擦るように突いてみる。せめて前に気が逸れたら苦痛が紛れるかもしれない。 だけど、俺も持ちそうにないかも。情けない。 「………ぁぁッ……あぁ、んんッ…」 突然、なごみさんが声を出したと同時に、お腹にピュっと白濁液が飛んだ。 飛んだ愛しい人の生暖かい精液を指先で拾い、自分の腹にも塗った。舐めてみると、青臭さが口に広がったが、なごみさんのは平気だ。 それより、何……この色っぽい声。反則だ。 ムラッとくるんですけど。 「……おおのくん……ぁんッ、やだ、おくだめ…」 駄目とか言われたら、やるでしょう。 もっと喘ぎ声が聞きたい。乱れて欲しい。 さっきまでとは打って変わって、俺は最奥を狙って突き始めた。 「奥、気持ちいいですか。ん……締まりますね。後は……ここかな……どう?」 実はさっきから左側を掬うように狙うと、中が締まり背中が仰け反っていた。 たぶんなごみさんの〝いいところ〟だ。 「……はぁ……ぁぁ……ぁん……きもち…いい……ぁぁッ……、」 麻薬のような嬌声に酔いそうだ。 肌がぶつかる音が段々早く、大きくなっていく。俺より小さなこの人を壊してしまうかもしれない。 「はぁ……はぁ……も、イキそ……好きです……なごみさん……」 「……ぅん。ぼくも………いい、よぉ……ぁぅ……」 なごみさんが引き寄せて、俺に深いキスをした。下も上もとろとろのモノが重なり、擦れて絶頂を迎える。 ああ、とろけてしまいそうだ。 射精後も余韻に浸り、しばらく抱き合っていた。なんか想像していたセックスと違う。 終わった後も、相手が愛しくて離したくない。性欲を満たすためのものではなく、愛を確か合うものなんだ。 「ねぇ、大野君。まだ固くない?」 俺の息子は何故かまだ元気だった。 緊張してるから疲れを知らずになったのかもしれない。 「そうみたい、ですね」 「じゃあさ、少し休んだら、もっかいしようか」 そう言って、イタズラに笑うあなたは、やっぱり俺にとって最高の天使だ。

ともだちにシェアしよう!