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第134話 2人のルール11
(大野語り)
挿入するまでは、なごみさんも余裕がある感じだったのに、俺が腰を振り始めると、顔を手のひらで隠してしまった。強く噛んでいる下唇だけが見える。
何かを堪えているようだ。
サクランボみたいな、ぷるんとした赤い唇が傷ついてしまう。
「……なごみ、さん、隠さないで。声、抑えてるでしょ……」
赤い顔で俺を見る目は潤んでいた。
なごみさんの中はキツくて、腰を動かす以前に、俺に巻きついて離そうとしてくれなかった。だけど、痛くないのかが気になる。受け入れる時の苦痛な表情が忘れられなかった。
それに元々挿れるためのところではない。
俺ばっかり気持ちよくても、そんなのセックスじゃない。テクニックとか正直俺には無い。経験も薄っぺらい。だけど、あなたを想う気持ちは誰にも負けないよ。
手元にあったローションを更に繋がりへ垂らした。ぐちゅぐちゅと水音が辺りに響く。
まだ隠している顔を見つめながら、なごみさんの勃っているモノに手を伸ばした。
前を扱きながら、ゆっくり擦るように突いてみる。せめて前に気が逸れたら苦痛が紛れるかもしれない。
だけど、俺も持ちそうにないかも。情けない。
「………ぁぁッ……あぁ、んんッ…」
突然、なごみさんが声を出したと同時に、お腹にピュっと白濁液が飛んだ。
飛んだ愛しい人の生暖かい精液を指先で拾い、自分の腹にも塗った。舐めてみると、青臭さが口に広がったが、なごみさんのは平気だ。
それより、何……この色っぽい声。反則だ。
ムラッとくるんですけど。
「……おおのくん……ぁんッ、やだ、おくだめ…」
駄目とか言われたら、やるでしょう。
もっと喘ぎ声が聞きたい。乱れて欲しい。
さっきまでとは打って変わって、俺は最奥を狙って突き始めた。
「奥、気持ちいいですか。ん……締まりますね。後は……ここかな……どう?」
実はさっきから左側を掬うように狙うと、中が締まり背中が仰け反っていた。
たぶんなごみさんの〝いいところ〟だ。
「……はぁ……ぁぁ……ぁん……きもち…いい……ぁぁッ……、」
麻薬のような嬌声に酔いそうだ。
肌がぶつかる音が段々早く、大きくなっていく。俺より小さなこの人を壊してしまうかもしれない。
「はぁ……はぁ……も、イキそ……好きです……なごみさん……」
「……ぅん。ぼくも………いい、よぉ……ぁぅ……」
なごみさんが引き寄せて、俺に深いキスをした。下も上もとろとろのモノが重なり、擦れて絶頂を迎える。
ああ、とろけてしまいそうだ。
射精後も余韻に浸り、しばらく抱き合っていた。なんか想像していたセックスと違う。
終わった後も、相手が愛しくて離したくない。性欲を満たすためのものではなく、愛を確か合うものなんだ。
「ねぇ、大野君。まだ固くない?」
俺の息子は何故かまだ元気だった。
緊張してるから疲れを知らずになったのかもしれない。
「そうみたい、ですね」
「じゃあさ、少し休んだら、もっかいしようか」
そう言って、イタズラに笑うあなたは、やっぱり俺にとって最高の天使だ。
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