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第136話【番外編】10年越しの約束1

いつもありがとうございます。 こちらの番外編は、なごみが秘書をしている現社長と秘書室長東の過去のお話になります(全12回) その後、再び大野となごみにの話に戻ります。 よろしかったらお付き合いお願いします。 (東語り) 俺は入社当時から秘書室にいた訳ではない。最初は以前の大野君と同じ法人営業部にいて、真面目に営業活動をしていた。営業職は嫌いじゃなかった。自分の努力が如実に現れることが勉強と似ていて、夢中で数字を追いかけた。 そのまま在籍していたら違う未来が拓けたに違いないと、今だに思う時がある。 だが、ひょんなことから現在の秘書室へ異動になり現在に至る。 それは、まだ俺が入社3年目で25才だったころ……冷徹男と言われる遥か昔、10年前の話に遡る。 その日は、台風の影響で秋雨前線が刺激され、朝から大雨が降っていた。勢いのある雨がガラス窓に叩きつけられるのを横目で見ながら、朝礼でつまらない部長の話を聞いていた。 その中に、見かけない人を発見したのだ。 背は173センチある俺より高い。おそらく180近いと思われる。髪は長めで、姿勢が良く、青いストライプのネクタイがダークグレーのスーツによく似合っていた。目元は凛々しく、雑誌で見るような、ちょい悪オヤジに見えた。多分俺よりかなり年上だ。30代半ば過ぎだろう。 この人は誰だろうかと見過ぎたのだと思う。 俺の視線に気付き、明らかにこっちを見てにっこりした後、皆の前で挨拶をした。 人当たりは良さそうな人だと感じた。 「白勢 航(しらせこう)と申します。よろしくお願いします。しばらくこちらでお世話になります。」 部長の説明が続く。 どうやらこの人は、現社長の御曹司のようだ。つまり次期社長か。 たしか、アメリカの関連会社にいたのではなかったか。噂話は好きではないが、嫌でもこの類の話は先輩達が口にするので耳に入ってくる。 白勢さんは、営業成績のいいベテラン営業マンに同行することを部長が発表していた。 雨のせいで道路が混み、営業先から帰社することに時間がかかってしまう。事務所へ着いたのは就業時間をはるかに超えていた。20時近くなっても残務は待ってはくれない。 営業日誌の作成、お客様が興味を示した内容の見積もり作成、数えればキリが無かった。 事務所に入ると、既に誰もいないと思っていた事務所に人影があった。

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