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第148話 甘いと切ない1
(大野語り)
「なごみさん、ね?いいでしょ?少しぐらいなら、どう?」
「い、嫌だよ。隼人君はしつこい。駄目なものは駄目だから、1人で入って」
ここ最近、俺のことを『隼人君』と呼ぶ声の主は、頑なに一緒に風呂へ入ることを嫌がっていた。彼に下の名前で呼ばれる度に、嬉しくてキュンとなる。だが、俺が『洋一さん』と呼ぶ行為は、恥ずかしいからと固く禁止されていた。本当に、いちいち愛しくてたまらない。
付き合ってから2ヶ月が過ぎた。
仕事帰りの週末は決まってなごみさん家に行く。スーパーに寄り、俺が料理を作って、偏食な恋人に栄養価の高い食事を摂らせたあと、風呂に入って一緒に眠る。
セックスも、最初よりはスムーズに事を運べるようになったと思う。なごみさんを気持ちよくさせてあげたい一心で、日々勉強している。
断られたお風呂の中で、今日はどんな風にいちゃいちゃしようか1人でニヤけていると、ある考えが頭に浮かび、俺はほくそ笑んだ。
「なごみさーん、シャンプー切れてます」
湯船からの大きな声でに、替えを持ったなごみさんが間も無く姿を現す。
「ごめん。切れてるなんて気が付かなかった。これ補充してくれる?」
お風呂のドアを少し開けてシャンプーを差し出して来たので、風呂の椅子に座りシャワーを浴びながら答える。
「すみません、ちょっと手が離せないので中まで持って来てもらえませんか」
「えぇっ、シャワー止めて、濡れちゃうから」
「はーい」
と元気な声を出しながら、次の瞬間グイと風呂の中へ細い手首を引っ張った。
「ちょっと待って。何これ、濡れちゃう。ふぁ……ぁっ……」
ヨロけたなごみさんをシャワーの下に引き寄せ、すかさず唇を奪った。
長いキスによって、なごみさんの力が段々と抜けていくのが分かる。支えながら幾度も角度を変えて舌を吸った。
「はやと、くんっ……もう、何すんの。びしょびしょだよ」
腕の中には上気した頰のなごみさんがいる。
彼の白いTシャツがシャワーに濡れて、ピタリと身体に張り付いている。思わずピンクに透けている突起を指で弾くと、身体が正直に震えた。
「だって、一緒にお風呂に入りたくて……せめて気分だけでも味わいたかったんです」
我慢が出来なくて、ぢゅう、と今度は突起を吸う。ここに弱いなごみさんは甘い声を上げて背中が反らし、手でやんわりと形ばかりの反抗をする。風呂場は声が響くので余計に興奮を誘った。
「……ぅ、ぁ……もう、ぁん、どうしたいの?さっきから固いのが当たってるし」
主張している俺の股間をぐいぐいと無意識に押し付けていたことに気付く。
「あの……一緒に扱いていいですか?」
「………………もう。しょうがないな。今日だけ」
口調は不満そうなのに、綺麗な手は俺のものをゆるゆると触り始めた。
絶え間なく流れるシャワーが2人をしっとりと濡らしていく。身体が熱いせいなのか、温水はさっきよりもぬるく感じた。俺はなごみさんのズボンを脱がし、中から固くなった芯を取り出した。
お互い興奮していることに嬉しくなる。
「……ぁ、あッ…ぁぁ……」
一緒に重ねて擦る。熱くて、気持ちよくて、溶けてしまいそうだ。
間も無く2人の精液が同時に出る。あまり無い瞬間に、思わず顔を合わせて笑ってしまった。
「ははは、同じでしたね。」
「うん。珍しいよね。ふふふ」
寄りかかるなごみさんの重さに、幸せを心の底から感じていた。
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