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第166話 大切な人8
(大野語り)
当たり前だけど、すべてが熱い。
クーラーがガンガンに効いていても、熱のあるなごみさんが冷えることはなかった。
乱暴にキスした後、我に返った俺は優しく啄ばむような口付けをして心を落ち着かせる。柔らかい唇を掬うように舐めながら、なごみさんの唾液を飲み込んだ。病人に激しくしてはいけない。大切な人に無理をさせてはいけないのだ。ここで止めておかないと。
「………びっくりした。急にキスしてくるんだもん。風邪うつるよ。さっきより熱が高くなってるみたい」
息をゆっくり吐くと、なごみさんが俺の股間をやんわりと揉んだ。完全体手前の分身が痛く主張している。ヤバい。悟られた。やらしく揉んでいる手は、気持ちよくてこのまま続けて欲しくなる。
「あ、そこは……」
「隼人君、しようか。僕もやりたい。僕の中を隼人君でいっぱいにして欲しい」
イタズラに誘うような眼差しにドキッとさせられる。セックスの主導権は、いつもなごみさんが握っている。俺はこの人に敵わないのだ。
「熱……ありますよ。いいんですか?」
「うん。激しいのは勘弁。ゆっくり気持ちよくなりたいな。あんまり動けないんだ」
「いいです。いつも俺ばかりなんで、今日ぐらいは好きなようにやらせてください」
愛撫は俺がして貰うことが多い。身体中にキスを受け、大きくなった中芯を口に含み、たちまち精液まで飲まれてしまう。挿れるのは俺でも、それまでは立場が逆の様な気がしていた。
だから今日は俺がやりたい。
「うん。じゃあお願いしようかな。でもね、隼人君で十分気持ちよくさせて貰ってるから、別に不満なんてないよ。すぐ挿れても構わない」
どこか余裕なこの人をとろとろのグズグズにしたくなる。俺はなごみさんのタオルケットにもぐりこみ、後ろからぎゅっと抱きしめた。
首筋の甘い匂いが鼻孔をくすぐる。
「くすぐったい……ふふふ…そこ弱いから、隼人くん……ははは」
脇腹をくすぐりながら、手をシャツの中に入れ、小さな突起を探した。くすぐりながら襲うとか、恋愛経験の少ない学生みたいだ。それしか方法が思い浮かばなかった自分の引き出しの少なさに呆れる。
「ははは、もう……そこ、うん……あぁ、ぁん……痛いょ……やぁだ…」
「もう固くなってきましたよ。なごみさんはここ弱いですよね。こうやって強く引っ張って……離すと……どうですか?」
コリコリと固くなった乳首をピンっとひっぱると、抱きしめている細い背中が震えた。
堪らず向かい合わせになってみたら、赤い顔をしたなごみさんが、目を潤ませて催促をしてくる。
「………きもち、いいから……もっかい……ね?……」
可愛すぎる。もっとやってあげるよ。
乳首が感じやすいのは女の子みたいだけど、その辺の女の子より遥かに感度は良好だった。
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