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第169話 大切な人11
(なごみ語り)
射精の余韻に少しの間浸っていた。隼人君が中芯から残りの精液を吸いきって、入っていた指を後孔から抜く。喉がイガイガして不味くないのかな。気にせず平然としているけど、心配になってくる。
後ろは風呂でも解していたので、たぶんゆるゆるのとろとろだ。自分で見ることは出来ないけれど、感覚で分かる。指が抜けてヒクつきながら、もっと太い指ではない別の物を欲しがっていた。
そんな欲を堪えて、美味しそうにそそり立つ隼人君の昂りを見た。赤黒く僕のより太くて大きい。てらてらと光っており、これが僕の中に入ると思うと興奮した。
「次、隼人君の番ね。僕にも舐めさせて」
やっと僕の番が来たと思った。喜々して起き上がろうとしたら、頭が重くてフラつく。
あれ……やっぱり病人だ。
「ほら。今日はいいですから。いつも洋一さんにやってもらってるんで、そのまま寝ててください」
「…………うん………」
ベッドへ横になるように、再び倒される。
視界がぐわりと揺れた。
隼人君が枕元にある箱からゴムを取り出し、隣にあったローションを勃った雄にたっぷりかける。
「早く挿れたい。あなたの中で出したいです」
「生でもいいのに……早くちょうだい」
横を向いて後孔を広げると、中に仕込んであった生暖かいローションがとろりと垂れた。
「は?何言ってるんですか。冗談は止めてください。身体に負担がかかります。
もう………こんな可愛い姿は誰にも見せたくないな。洋一さん、熱上がってきてません?寒くないですか」
「寒いから、くっ付いてやろ」
「ああ……もう、いいですよ」
僕が寝たまま足を広げ、隼人君を受け入れた。要望通り身体を重ねたまま、雄が挿ってくる。行為は優しくても、僕の穴は強引に広がった。隼人君を受け入れるこの感覚は、歓びに満ち溢れた痛みだ。間も無く彼でナカが満たされる。
「ぁぁ………すっげーあっつい。ちょっと中を動かさないでくださいっ、てば。んっ、腰が止まらなくなる。溶けちゃいそう……」
「無理、言わないで。ぁ、ぁ、ぁんっ……ゆっくり、して……」
中は意識的に動かしている訳ではない。隼人君曰く、絡みつくように内壁が動くらしいのだが、僕はよく分からない。だけど、奥へ奥へモノが挿ってくる。
クーラーが効いていても今は真夏だ。
胸と胸が重なり、互いの温もりで段々汗ばんできた。彼の腰の動きは相変わらず早いままだ。眉間にしわを寄せて我慢している表情に惚れ惚れして、引き寄せてキスをした。彼に組み敷かれている腕の中は、僕が1番安心できる場所である。
「………はやと、くん。好き……好き……好き、好き、………んん……」
「煽らないで……保たないですから……」
発汗して熱が一時的に少し下がったようだ。その隙をついて、僕は後ろから隼人君を抜き、呆気にとられた彼を横にさせて上に跨った。
僕だって男だから、征服欲はある。
見下ろしながら騎乗位で動くのが本当は1番好きだったりする。
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