204 / 270
第205話真夜中の訪問者2
(なごみ語り)
晩御飯は水炊きだった。隼人君が甲斐甲斐しく鍋の世話をしてくれる。そうしないと落ち着かないのだそうで、申し訳なく思いながら美味しく頂き、お腹がいっぱいになる。
食後、順番にお風呂へ入って2人でふやけてソファでゴロゴロしていた。日々の激務で瞼が自然に下がってくる。
社長に頼まれた経営会議資料が思いの外ボリュームが大きく、夜な夜な残業をして仕上げたのだ。だから頭の中は今だに表計算ソフトが渦を巻いている。頭痛がするので、暫く見たくもないが、週明けにも訂正が入るだろう。再び数字と睨めっこの日々が始まる。
うとうとしていたら隣で風呂上がりのビールを飲んでいる隼人君に名前を呼ばれた。
テレビから流れるお笑い芸人の笑い声が腹に心地よく響いている。
好きな人と共に過ごす時間は、僕の全ての源だ。互いに溶けて1つの個体になれたらもっともっと幸せになるんじゃないかと、セックス以外でも思うのだった。
「なごみさん、寝るならベッドに行かないと風邪ひきますよ」
隼人君が缶ビールをコトンと机に置き、僕の手を軽く引っ張った。
「ん……寝ない。まだこうしてたい」
隣にいる彼の肩に頭を乗せ甘えてみる。
さっきからチラチラと僕の様子を伺っているのは知っていたので、自分から流れを作ってみることにした。隼人君の手を取り、にぎにぎしてみると優しく握り返してくれる。手は次第に互いの服の中へ滑り込み、僕の手は隼人君の固い腹筋へ触れた。隼人君の指も胸の突起を探しているようだった。
「ねえ、ヨーイチは元気?この間行った時、見かけなかったんだよね。雪絵さんの話だと君に1番懐いてるとか」
「あいつは名前がヨーイチなだけで、生意気な猫ですよ。いっつも俺の布団に入って来るし……それに…………とにかく猫はあんまり好きじゃありません。白いやつは特にです」
「嫌いなの?可愛いのに」
「まあ、そんな感じです。可愛いのは見た目だけですよ。騙されないでください」
ヨーイチの何かに怒っているようだった。動物との同居は難しいらしい。彼らにも好みや意思は存在するから厄介なのかな。
目は互いにテレビを追っているが、内容までは頭に入ってこない。指の動きがいやらしくなるにつれて、股間に熱が集まり出した。隼人君のモノも固くなっているのは、スウェットの膨らみを見れば一目瞭然だった。
「洋一さん……欲しいです」
耳元で低く囁かれると、熱い口づけが降ってきた。唾液の音を楽しむかのように舌を味わう。キスって、口を広げると相手もそれに合わせてくれるから、共に呼吸してるみたいだ。気持ちがいい。同じ空気を貪るように吸う。
「ふぅ…………ぁっ………はやとくん、はやとくん……触って……」
「……かわいい……はい、触りますよ」
どこを?と聞かれるまでもなく、僕の下半身へするりと隼人君が降りていく。ソファに座ったまま、パジャマのズボンを降ろされた。
躊躇いもなく勃ったモノを口に含み、先を吸い出すように舐められると、ぞわぞわと射精感が太ももを上がってくるようだった。
すごく気持ちがいい。一生懸命な彼のつむじを眺めながら、自分の腰がいらやしく動いた。
「ぁ、ぁ、ん……ぁぁぁッ……ぼくも……やりたい……」
「ゆっくり降りてきて……洋一さん……俺の上に乗ってください」
ソファから降り、導かれるままシックスナインの体勢で口淫を夢中でやった。太い根元から裏筋に舌を這わせて、双玉も味わうと、苦い味と青臭い香りが少しづつ口に広がる。
じゅぼ、じゅぼ、と卑猥な音が自分の音なのか、隼人君の音なのか、区別がつかずにただただ気持ちは昂ぶるばかりだった。
好き人のモノはどうしてこんなに愛しいのだろうか。美味しいとさえ思える。
「んん………やだっ、隼人君……それはだめ……ぁぁ、や……」
唾液で濡らした指が後孔の入り口を浅く広げ始めた。今更で遅いのだが、僕が上に跨っているから後ろが丸見えで、これは顔から火が出るくらい恥ずかしい。直ぐにこの体勢を変えたかった。
「だめですよ。このまま。暫くお預けだったんですから、味わわせてください」
「だめ……ぁぁンっ……いきそう、だから。お尻も……みないで。で、でる……んっ……」
お尻ごとしっかりホールドされて逃げれる訳がなく、前も後ろも彼から休むことなく愛撫を受けていた。
間も無く、僕が温かい彼の口内で果てた。
悔しいけど、かなり興奮したのも事実だ。
ともだちにシェアしよう!