242 / 270

第243話リバーシブルしませんか5

(円語り) 温かい窄まりに、潤滑油が熱で蕩け出し、尚且つ温かいモノを挿れられて気持ち良くない訳がない。文字通り、ドロドロに溶けてしまいそうだった。 渉さんは、セックスがとても上手い。 相手を見ながら、欲しいものをチラつかせて焦らした後に、有り余るほどの快楽を与えてくれる。 身体の入れ方も絶妙だ。押さえつける訳ではなく、安心という身体の温もりが常にあった。 「まーどーかー君、こっち向いて?」 「あ……ぁ、ぁ……ふぁ……」 抜き差しされてる音がいやらしい。いつもならそれに優越感を感じるのに、今日は羞恥で聞くに耐えなかった。五感全てを渉さんに支配されている気分だ。 「気持ちいい?」 「うん……ぁっ……ん……すき」 「良さそうだね」 クッションを抱き抱えた俺に、渉さんが前屈みになってキスをくれた。当然奥まで挿ってくるモノの刺激に悶える。 夢にまで見たリバは、夢如きでは終わらず、それ以上のものを与えてくれた。お尻がこんなに気持ちがいいとは知らなかった。いや、渉さんに抱かれることが幸せと気付かせてくれたのだ。 「円君のナカ、すごくいいい」 「っほんとう……?」 「本当だよ。君が嫌じゃなければ、また抱かせて欲しい。あ、イキそ……」 「渉さん、前、からがいい」 「僕もそう思ってた」 一旦抜いて向き合い足を拡げる。 再び迎え入れた時、渉さんの質量がグンと増えていた。 「円君、ありがとう……僕を受け入れてくれて」 「そんな、俺の方こそ……ぁっ、ぅ……ぁん……」 喘ぎ声がキスで消される。 『好きだよ』と何度も耳元で囁かれ、それが『愛してる』に変わった頃、渉さんが絶頂を迎えた。 俺は必死に抱きついて快楽に耐える。 何度イったのか、どれくらい経ったのか、よく分からない。俺は、目の前の愛しい人を惚れ惚れして眺めた。 「渉さんは物凄く格好良い」 「これでも格好良くなろうと努力してるからね。どうだった?念願のリバーシブルは?」 ずる……とナカからモノを抜き、後処理を始める。後孔が名残惜しそうに疼いた。 俺は起き上がって、渉さんの背中に寄り添う。そしたら、渉さんが申し訳なさそうに照れ笑いした。 「もっかい、したいかも。勃っちゃった」 「えええっ!!今から?」 「うん……ごめんね」 こうして、俺の願いは叶い、世界はグンと広がる。 俺の知らない渉さんはいなくなった。 【END】

ともだちにシェアしよう!