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第255話夏の宵に君へ伝える12

(なごみ語り) 隼人君が用意してくれた宿泊先は、想像以上に『リゾートホテル』と称される類に入るものだった。問い合わせをしたら、丁度キャンセルが入ったとのことだ。 全面オーシャンビューで、白とエメラルドグリーンを基調とした部屋からは、ビーチにプール、世界的に有名な崖を望むことが出来た。夏の夕暮れは、まだまだ遊びたい人達で溢れている。所々で子供たちのはしゃぐ声が聞こえた。 ここは日本じゃないみたいだ。太古の昔から人類には備わっている野性の部分が、ゆっくりと姿を現していく。それは決して荒っぽいものではなく、僕らを酔わせるように、甘く切なく侵食していくのだ。 部屋に入り、バルコニーで少しの間海を仰く。その後は、待っていたかのように抱きしめられた。シャツを通じて伝わってくる彼の体温がいつもより高い。それは発情している証拠だった。 「…………痛い……」 「だって、ここ沖縄ですよ。貴方と行きたかった旅行が念願叶って実現したんです。久しぶりに貴方を堪能したい。なごみさんっ……」 「…………隼人く……ぁっ……」 体制を整えたくて、身をよじって顔を上げたところで唇を塞がれた。最初からガッツリする気だったんだと思う。いきなり侵食を始めた舌は、勝手知ったる僕の口内を舐め回した。 目を瞑る隙も与えられない。互いの舌が阿吽の呼吸で、絡みつき、吸い上げる。隼人君が両手で僕の顔を固定するものだから、逃げることも出来ない。 シャツの裾から指が入ってきて、強めに乳首を摘んでいる。下半身がずくん、と疼いた。 「…………はぁ、はぁ、なん、で急に、びっくりしたんだけど」 「急じゃないです。我慢に我慢を重ねて、今の状況になったんです」 「うん。分かった。しよう。せめてシャワーは浴びさせて……」 「ダメです。シャワーは後でいいから」 「汚いからやだ」 「汚くありません」 精一杯の抵抗も却下される。真夏だけあって、それなりに汗をかくのに、直ぐに愛し合いたいと僕の恋人は言う。 「だって、洋一さんのソコも反応してるじゃないですか」 「……ぁっ、触った……らダメだって」 あんなキスをされたら誰だって勃つ。先端が下着に擦れて、湿っているのが分かるくらいだ。 あっという間に、ベッドへ押し倒された。シングルベッドは仲睦まじくくっ付くように並んでいるため、男2人がなだれ込んでも全く狭くない。 「もう……待てない子だね。そういうとこも好きだけど」 僕を見下ろす隼人君へ手を伸ばし、髪を撫で、目じりを撫でた。彼の荒い息遣いが聞こえてくる。 勿論、彼のモノもズボンの中では臨戦態勢にあり、いつ爆ぜるか分からないくらい固い。 「なごみさん…………いいですか?」 「好きにしていいよ。僕は君のままにされるのが1番感じるんだ」 「……………………」 彼は目を大きく見開く。一瞬間があった後、隼人君が首筋に噛み付いてきた。 大きな手は、シャツを捲し上げる。 「……ぁっ……ん……」 甘えたくてしょうがなかったのは、彼の方だったのかもしれない。

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