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俺の容姿は人によっては“男らしい”と言われることもあるが、初対面の人間には大抵“怖い”と評される。眼鏡を掛けるほどでもないが、微妙に悪い視力のせいで寄る眉間の皺のせいだと俺は主張しているが、親友であるあの男に言わせると『目が合っただけで殴りかかって来そう』な雰囲気なんだそうだ。
それでもそれなりに、俺もオメガの女性や男性と付き合う機会が何度かあった。カラダを重ねるまで進むことも少なくない。だが、どうにもこうにも何故か俺は直ぐに振られてしまう。
自分で言うのも何だが家柄は申し分ないはずだし、一応紳士を気取っているから恋人は優しくリードしてきた。特に何かを失敗した記憶もない。だがいつだって別れは直ぐに訪れ、言われる言葉は決まって同じ。
『思ってた感じと違った』
何だよ“思ってた感じ”って。俺をどう思ってたって言うのよ、ほんと謎だよ。
そうして今再び同じ様な理由で、ほんの二週間ほど恋人だった同じ大学の男の子に、人の多い中庭という目立つ場所であっさり振られた訳だけど…。
がっくりと肩を落とし漸く振られた場所から踵を返せば、前方から今一番会いたくない男が俺に向かって歩いて来るのが見えた。
「よう、浮かない顔してどうした?」
そう言って軽く手を上げた男は、その出来過ぎた顔に嫌な笑みを浮かべる。
「白々しいこと言うなよ匠、どうせまた不幸のニオイを嗅ぎつけて来たんだろ?」
「酷い言い草だな、せっかく慰めに来てやったのに」
「頼んでないし」
はぁ…と溜め息を吐く俺の肩に匠が腕を回す。その瞬間、匠から爽やかな匂いがふわりと香った。
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