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第5話
僕の発情は三か月に一回のペースで、人より少し淡白だ。
未熟児で生まれたらしく、体の発達が人より遅く赤ちゃんの頃に心臓の手術もしている。お腹に十字架みたいな手術跡もある。そのせいで今は人並みの生活をしているが、体があまり丈夫な方ではない。
発情中の理性のないセックスは、発情が終わった後熱が出て寝込むこともしばしば。
病院で抑制剤をもらいつつもお医者様に『パートナーともう少し話し合いなさい』と釘をさされるほどだった。
ただ発情中の理性のない僕は、普段に甘えない淡白な僕より可愛いらしい。
彼は三か月に一度の発情を楽しみにしている様子だった。
そんな悩みを常に頭の隅に持ちつつ、気づいたら僕たちは彼が僕の部屋に転がり込む形で同棲していた。
僕は子供のおもちゃや文房具を取り扱う会社の企画、営業部で働いていた。
なので子供のイベントや行事前は何かと忙しいのだけれど、僕の仕事なんておかまいなしで彼は毎日のように発情していたと思う。
「あのさ、七海」
「なに?」
「……僕、その」
君とのセックスが苦痛なんだ。
そうストレートに言ったら彼は怒るかもしれない。
僕には優しいけれど、例えば男のオメガと付き合ってるとからかわれて相手を病院送りにしたり、僕の仕事場に来たストーカーを半殺しにして警察に突き出したり。
もし彼に激情されたら、僕は自分の身を守れない。
そう思うのはすでに彼を信用していないのではないだろうか。
「体力がないから、セックスの頻度を減らしたいんだ」
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