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第6話

そういうのがやっとだった。 すでに僕は彼を信用していなかったのかもしれない。 毎日のように求めていた彼が、僕を気遣って数日に一度、うかがうようになった。 僕の意見を受け入れてくれたらしい。 僕は彼の意見も聞かず、どんどんセックスから逃げて行った。 気づいたら月に一度とか、二度するかしないか。 おかげで体調は良くなったし、起きた後の体の鈍い痛みがない日々は開放的だった。 彼の気持ちを一度も聞かないまま。 「あっ……ひ、ぃ……っんっ」 ヒートしたその日、ベットで自分の体を抱きしめつつも潤んだ視界の中抑制剤を探した。 ベットの隅に置いてあった救急箱の中から抑制剤を探すが、見つからずに彼を探した。 「七海、抑制剤をしらな、いかっ」 起きるのもきつくて、彼の匂いに体が興奮していく。 でも駄目だ。彼は今日、大事なコンペがある。自分で建築デザイン会社を立ち上げて、ようやく軌道に乗ってきだした彼の大事な日に強請るわけにはいかない。 「俺がいるから、抑制剤なんていらねえだろ」

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