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第7話

「七海」 ずるりとズボンと下着を一緒にずらされると、すでに性器と下着の間は濡れて糸を引いていた。 「駄目だ。抑制剤を」 「心配するな。大丈夫だ」 何度も頭をなでられて、理性が消えていくのが分かった。 彼に乱暴に服を脱がされながら、楽しそうな、幸せそうな彼の顔が印象的だった。 それから、彼は僕が買った抑制剤を隠すようになった。 その方が、僕が彼を求めてくれるから、らしい。 何度も泣いて訴えたが、どんなに隠していても彼は見つけてしまう。 見つからない場所を何度も確認しつつも、いざヒートしてしまえば動ける範囲は限られている。隠す場所にも限りがあった。 「ちょっとだけ、どうしても行かないといけない仕事があるんだ。すぐ戻るから」 「……お願いだ、せめてその間だけ、抑制剤を」 「すぐ戻るから大丈夫だよ」 「お願い。七海、お願い。何でもするから、ちょうだい。苦しいんだ。お願い」  彼の体に縋った。行かないで。行かないで。一人で熱を耐えるのは苦しい。  お願いだ。行かないで。 「じゃあ一人で触ってればいいじゃん。那津は潔癖すぎる。自分で触って慰めたこともないだろ」 腕をはがされて、ぺたんとベットに倒れ込んだ。それだけで体がぞくぞくと熱で震えた。 苦しい。助けて、七海、助けて。 手を伸ばすのに、彼はドアを閉じて鍵を閉める。 鍵の音と共に、真っ暗になっていく。 「だから嫌いなんだ。セックスは」

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