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第12話
一本一本大事にしてくれる君が、本当に好きなんだ。好きで好きで苦しい。
苦しくなるような、思い出しても辛いだけの恋だった。
閉鎖的で、身動きが取れなくて、彼にしがみつくだけの恋だった。
戻りたくないのに、苦しいのに、思い出しては涙がこみ上げるのに、それでも彼が会いに来ると心が震えてしまう。
「君は魅力的な男だ。僕は同じ男なのに、簡単に足を広げて、はしたなく乱れて、こうも違うのかと現実を突きつけられる。僕は、セックスが怖かった」
「お前は変に上品ぶってるよな。裸でちんこ見せあう自体がエロいことだろうが」
「君はさあ……。僕はもっとイチャイチャしたかったんだ。気絶するぐらい求め合うんじゃなくて、触りあいっことか、舐めあいとか、あとはデートしたり。キスはいっぱいしたい」
「―-それを早く言えよ」
花を集め終えた彼が、すねたような顔をする。
僕の言動に振り回されて可哀そうな人だ。
こんなに素敵な人なら、きっともっと素晴らしい人がいるだろうに。
なんで僕に振り回されちゃうんだろう。
「俺は、ヒートした時のセックスの時しかお前に求められないのが、……メチャクチャ辛かった」
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