13 / 15
第13話
「うん」
「この責任を取ってもらう」
「え、へえ?」
首を傾げた僕に、彼は気まずそうにコートからベルベットの青い箱を差し出してきた。
「俺と結婚しろ」
「え……え?」
「今すぐ婚姻届けに記入して、市役所に行く」
「えええ?」
驚いて固まっているぼくに、彼は箱を開けて指輪を見せてきた。
「僕たち、さっきまで距離を置いていたんじゃなかったの?」
「だが、好きだ。お互い反省するとこしかねえが、だが好きだ」
無茶苦茶を言っている。そんなプロポーズなんてあるのか。
もう少し格好良く決めてほしいよ。君は誰もが振り返るようなイケメンなんだからさ。
「お前をこれ以上傷つけないと誓う。だから、たまに、ホンのたまにでいい。素直に甘えてくれ。俺の前では、もっとわがままでいい。だから、俺と結婚しろ」
「ふふふ。なんだ、それ。ふふふ。君、可愛いな」
ともだちにシェアしよう!