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第13話

「うん」 「この責任を取ってもらう」 「え、へえ?」 首を傾げた僕に、彼は気まずそうにコートからベルベットの青い箱を差し出してきた。 「俺と結婚しろ」 「え……え?」 「今すぐ婚姻届けに記入して、市役所に行く」 「えええ?」 驚いて固まっているぼくに、彼は箱を開けて指輪を見せてきた。 「僕たち、さっきまで距離を置いていたんじゃなかったの?」 「だが、好きだ。お互い反省するとこしかねえが、だが好きだ」 無茶苦茶を言っている。そんなプロポーズなんてあるのか。 もう少し格好良く決めてほしいよ。君は誰もが振り返るようなイケメンなんだからさ。 「お前をこれ以上傷つけないと誓う。だから、たまに、ホンのたまにでいい。素直に甘えてくれ。俺の前では、もっとわがままでいい。だから、俺と結婚しろ」 「ふふふ。なんだ、それ。ふふふ。君、可愛いな」

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