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『特待生制度が奨学生制度に変更になる』
という話を聞いたのは、父のあの情けない顔を見てから一週間も立たないうちだった。
なんでも、生活費に加えて家庭からの仕送りを減額出来るように月々一定額の奨学金が出るらしい。
しかも、優良成績者は返済免除。
生徒思いというかなんというか、
金持ちは考えることがおかしいんだな。
いくら金持ちの私立とはいえ、生徒に小遣いをやるなんて収入にならないような事をやってどうする。
もしかしてあれか?
坊ちゃんばかりだと庶民の考えがわからないバカが出てくるから、奨学金で庶民を炊きつけようとしてる、のか?
そんなアホみたいな話に乗るほどいい学校でもないだろう。
まぁ、俺は今まさにそのアホみたいな話に焚き付けられようとしてるんだが……。
まぁ、貰えるもんは貰っておこう。これにプラスでバイトとかできるのかが心配だったが、貰える分は家計にまわそうと思った。
勉強面については担任が全面的に協力してくれた。
本当に熱心だな…どこか他人事のように感じながら過去問やら予想範囲やら貰っては解き貰っては解きを繰り返した。
たまに面接練習なんかしてもらって、遅くなった時は近くのラーメン屋で奢ってもらったりもした。
教師がこんなことしちゃいけないんだろうが、
「みんなには秘密だぞ?」
とかウインクなんかしてみせる。
食ってるの醤油ラーメンだけど。
こういう風なのも、なんかいいな。
と思った。
別にラーメン一緒に食いに行く友達がいないわけじゃなかったが、ちゃんとした兄貴ってこんな感じなのかな。みたいな。
柄にもなくこどもっぽい寂しさが埋められて、担任に自分の信頼を全部乗っけていた。
だからだろう。
あいつにとって俺はただの道具にしか過ぎなかったことに気づけなかった。
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