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第4話

「狼さんの番って…… 僕に番なんか……」 「コウさんはちょうど身寄りも何も居ないΩの方を探していたのです そしたら私達のシマにいいΩが居たので訪ねさせてもらいました」 「え、でも僕今日あったばっかで…… 狼さんの事知らない……」 「佐伯コウだ、狼さんじゃねぇ」 猫さんが透明なファイルを渡してきてその中に書類が入っている そんなに多くのことは書いておらず目を通すと 佐伯コウの番になること 番になった際には何不自由ない生活が送れる 断った際にはここから立ち退いてもらう事 全て まるで番になる以外の選択肢は選ばせないという内容だった 狼さんを見上げると少し首をかしげなにか不満があるのかと問われる 「いえ、ありません……」 何も力がない自分はこれしかいう他なかった 「じゃあここに住む理由はもう無い 早く身一つでいい早く行くぞ」 「ぇぁ……待ってください!」 部屋に大急ぎで入っていき なー! と呼びかけるとどこから来たのかぴょんと胸の中へ飛び込んでくる両親の位牌を持ち部屋を出る 「おや、猫を飼っていたのですね これは綺麗な毛並みで」 「この子連れて行ってもいいですか……!」 「……俺は猫は得意ではない好かれないんだ」 「犬ですからね」 「うるさい」 「大丈夫だと思います……! この子大人しいし」 「お前が世話するなら連れてもいい」 「狼さん……ありがとうございます……!」 「狼さんじゃねぇ……」

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