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第2話
今日は最悪な日だった。
朝起きたらご飯が炊けてなく、仕方なくパンを食べようとしたらガビが生えていて、冷蔵庫には食べるものが何もなく、コンビニでシャケおにぎりを買おうとしたら最後の一つを小太りのオバさんに横取りされ、サンドイッチ買い食べようとしたらつまづいて落としてしまった。
そのまま出社したらお腹が空いて頭が回らずミスばかりし、上の立場なのに部下の前で社長に怒られ、虚しさを忘れようと慣れない酒を飲みに見知らぬバーに入って酒を飲み‥‥酒を飲み‥‥酒を‥‥‥
――――――そこから記憶が無い。
ガンガン痛む頭でぐるぐる考えていると、金髪の青年が口を開いた。
「オッさんさー、ゲイバーでデロデロに酔ってたの覚えてない?」
「ゲ‥ゲイバー!!!??痛っ!!」
びっくりして起き上がろうとすると、グッと手首のロープが締め付けられた。
「ほんっ‥とに覚えて無いんだなぁ〜‥。オレガッカリ。」
青年はわざとらしく肩を落とすジェスチャーをした。
「まぁでも約束は約束だしぃ、する事はしちゃうけどね〜♪」
青年は切れ長の目をしていて、流し目をされると妙に色っぽく、男とわかっていてもドキッとしてしまう。
「約束‥?約束って‥何の事だ?」
青年は近づいてきて耳元で囁いた。
「エ・ロ・い・か・い・は・つ♡」
そう言うや否や青年はスーツの上着のボタンを外し始めた。
「な・な・な・何をやっているんだ!!?や、やめろ!!」
青年は上着からシャツ、ズボンのボタンをスルスルと手品の様に外した。
「オッさん、奥さんと離婚して娘さん持ってかれちゃったんだろ?
寂しくて寂しくて仕方ないって言ってオイオイ子供みたいに泣いてたぜ?
娘とまた山に登りたかったって。」
そうそう、そう言えば娘と山登りに行ったっけ…
冬の山々に娘との歌声が響き渡って、楽しかったな…
ハイホー♪ハイホー♪声を合わせ〜♪
って、そんな事思い出してる場合じゃ無い。
この状況をなんとか阻止しなくては!
「だからと言ってこの状況はおかしいだろ?」
青年は手を休める気配はない。だんだん恥ずかしくなってきた。
「どうして君が、こんな僕なんかと……」
「今更何言っちゃってんの?オレが慰めてあげようか?って言ったら可愛くおねだりしてして来たんだぜ?
勃起不全症候群でず〜っと勃たないから勃たせて欲しいって。」
青年はほっぺたを風船の様に膨らませた。
「オレさ、アンタみたいな日常に疲れたオッさんが大好物なんだよねー♪
毎日へこへこ自分より年下の奴にも頭下げてさ、文句も言わず社畜になり、家庭にも居場所がなく、趣味もない。人生に疲れて来ているような...
そんなヤツがオレの手で開発されてアンアンメス化しちゃうの見てると、
興奮すんの。」
スッと 青年の目に鋭い光が宿り、伸ばした手をスルリと胸へと滑らせ、はだけたシャツから覗く私の乳首を優しくこね始めた。
「あっ...」
思わず出てしまった声に自分でも驚いた。
ハッとして顔が赤くなるのがわかる。
「ふふ...いい声。」
青年は、細い目をより一層細くし、満足げに微笑んだ。
自分の半分くらいの年齢の子供に好き勝手ににされてしまうなんて...
どうしよう‥‥こんな経験半世紀以上生きてて一度も無いぞ。
何故だろうか、ドキドキして心臓が爆発しそうだ。
青年はスルリと簡単にズボンを脱がし、最後の一枚になったパンツの中に手を忍ばせ私の柔らかく敏感な部分を包み込んだ。
「俺だけに見せる顔、見せてよ」
ゾクゾクと背中からむず痒い快感が襲って来た。
もう何年も味わって無かったこの感覚‥‥
「そんな‥ムダだよ‥酒も入ってるし‥‥ずっと反応しないんだ」
「諦めてただけだろ?大丈夫。オレに任せな。」
何と頼もしい青年なんだろうか。
気のせいか胸のあたりがキュンって音がしたぞ。
なんだか彼に全てを任せてもいい気がしてきた。
「これさえあれば大丈夫!てれれれってれーーーー!尿道プラグ〜〜〜!!」
前言撤回。ちょっと待て。
尿道ぷらぐ!!?聞いたこともない単語だ。
百科事典に載ってたっけ??
さっきからナイフだと思っていた光る細い棒状のモノはコレだったのか!
(その前に、突っ込み忘れたけど国民的ロボットのマネしたよね?今)
青年は器用に片手でローションの蓋を開け、ヌルヌルと私の敏感な所に塗りつけた。
「わ‥あぁっ‥‥」
他人に触られるなんて元妻以外で無かったこと。
まして同性になんて小学生の頃ふざけ合いで触られた程度。
反応するのだろうか‥急に不安になる。
嫌がる思いとは裏腹に、何故か彼に全てを任せたい気持ちになってきた。
藁にも縋り思いとはこの事で、出来ることなら勃たせてほしい!
このまま枯れるなんて寂しいではないか!!そう思い始めていた。
「コレ医療用のローションなんだぜ。ちょっとお高いの。もちろん舐めても大丈夫♪」
そして、青年はおもむろに私の股間にある、柔らかく萎んだソレに先端から口に含み始めた。
「なんてこと‥をうぅぅんっ‥‥あっ‥」
ヌルリとしたローションと、生暖かい舌の動きがまるで未知の生物が絡みついてくる様で、私にとって非日常的で刺激的な光景は現実味がなく、だがしかし、感覚だけは生々しく実感があり、長年の歳月を超えて快楽が身体中を巡って来ていた。
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