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第8話
まぁ無いよなと思いながらも一応訪ねてみたのだが、サージュは驚いた顔で「あります」と答えたのだ。
「え?排泄でって意味じゃねぇよ?」
「え?排泄以外に…?」
排泄以外に何に使うのだ?というサージュの顔を見て、フォスは脱力した。この状況で分からないという事は少しも頭の中にないのだろう。男が多い魔法使い界で男色が多いのは仕方がない事だ。その中に育ちつつもこの穴の排泄以外の使い道を思いつかないなどどんだけ温室育ちなんだよ?と呆気に取られる。
「あーまぁ…力抜いとけ」
「はっ…!?えっ!」
薬液が後ろまで垂れていたので充分に緩くなっていて、サージュの穴はフォスの指を向かい入れた。
「なっ…!?な…抜いて下さ…っ!」
「んー…俺も初めてだからな…」
「いや…っ、だから抜い…」
「解剖学書的にはここに…」
指でサージュの穴の中をぐちゅぐちゅと探るようにかき混ぜた。
今まで味わったことのない感覚なのかサージュはどうしたらいいか分からずにおどおどと戸惑っている。そもそも冷静に判断出来るような思考力は今宵サージュにはもう残っていない。
「やめ……んっ!」
「ここ?プロス(前立腺)か?」
「あっ…やっ…」
先程まで戸惑いしかなかった顔色がまた色づき始めた。
薬液お陰で潤滑剤も必要なくて良かったと指を何度か抜き差しして、フォスは己のものをサージュの穴に押し当てた。
「もう…ちょい我慢な。サージュ」
「え…っと何を…んんっ」
鈍感なサージュもこの状況になるとやる事が分かったのだろう。焦ったようにフォスを見つめたが、時は既に遅し、フォスの熱い棒はサージュの中へゆっくりと挿入されていく。
指とは比べ物にならない圧迫感、異物感に力みそうになるのをサージュは深呼吸をして必死に堪えた。
「そう、いい子。力抜いとけ」
「はぁ…は…ぃ」
自分で何かを考える事を放棄した今は師匠の声に素直に応じるしか出来なくなっていた。
普段、師匠が仕事に勤しんでいる机で、沢山の本や書類に紛れて師匠のものを挿入されている。この奇妙な状況にも働くはずの違和感や羞恥心ももう仕事を止めてしまったらしい。
ただただ、目の前の少し赤らんだ顔でこちらを見るフォスから与え続けられる快感に身を任せる事しかサージュは出来なくなっていた。
ぐんっとフォスのものがサージュの気持ちいい所を突けば少し残っていた考え事をしていた頭の部分も快感に塗り替えられる。
「あっ…はぁ…」
部屋の中には互いの肌が擦れる音と、吐息しか聞こえない。
サージュは与えられる快楽と白濁していく意識が人生で初めてのことで恐ろしくなった。自分というものが霞かかって消えてしまうのではないかと思ったのだ。
「あ…フォス…フォス…」
「んー?どうした?」
宙を掴もうとしていたサージュの手をフォスは掴んだ。挿入しやすいように離していた体を近づけて、サージュの体を抱きしめた。角度が変わって、挿入している部分が少しキツい。しかし、サージュはそんな事を気にしていないようで、目の前のフォスの体を必死に掴んだ。
「サージュ?大丈夫か?」
「フォス…フォス…」
虚ろな目で何度もフォスを呼び、泣きそうな顔で見つめた。薄く開いた口が紡いだ言葉はただひとつ。
「口付けを下さい」
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