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第9話

色香漂う雰囲気にフォスは言葉を失った。 こんなサージュを誰が想像出来るだろう。あの堅物と同一人物とは思えない。 その色香に誘われるようにフォスは深く、深く口付けをした。 「んっ…」 密着した体はぬるぬると薬液が、空気でさえ邪魔者だと言わんばかりにお互いの体の間を繋ぐ。 フォスが何度か突いているとサージュも自ら気持ちいい場所を探し求めるように腰が揺れた。 ぐちゅぐちゅという薬液が擦れる音と、ぱんっと腰が当たる音がする。 繋がった所が熱いのは薬液のせいなのか、体温のせいなのか。 フォスは夢中で何度もサージュの中を突き上げる。 はじめは唇を噛んで、この快感に必死に抗おうと頑張っていたサージュだが、今はその噛み締めた唇から甘美な嬌声しか零れてこない。 「フォス…あっ…んんっ…」 フォスを抱きしめる事で途切れそうになる意識をなんとか保っていたので、その力は知らず知らずのうちに強くなっていく。サージュの指がフォスの背中にくい込んでいるのを気づく余裕など無いくらいお互いを貪り求めた。 「ぐっ…ヤバい…」 「えっ…!?」 「あっ…!」 何度か一際激しく打ち付けるとフォスはサージュの奥にドロドロと快感の印を注ぎ込んだ。 「んんっ…」 それに反応するように、いつの間にか大きくなっていたサージュのものも、再び白濁した液を放出した。 熱い液が注ぎ込まれ、また、サージュ自身も吐き出したせいで、サージュの体はビクビクと痙攣し、快楽の海からまだ抜けきれないようで意識は朦朧としていた。 フォスはサージュの体から抜き出すとどろりと精液が穴から零れ、それはサージュの太腿を伝い、足先の方へと流れた。 精液と、薬液と、汗で汚れたサージュの体は恐ろしい程に色気が満ちていて、『これはいけない道に足を踏み入れてしまった…お互いに』とフォスは息を飲んだ。 「…入れたのは足じゃなくてナニか?」 ボソリと言ったくだらない呟きは幸いサージュの耳には届いていないようだ。いや、届いているが反応する元気がないのか、はたまた理解する頭が残っていないのか。 「あ…直腸に注入しちまったな」 その注いだ精液も勿論体内へ吸収などされず全て零れてしまったが。 「サージュ、口から飲みたかったんだっけ?残り飲む?なーんて…」 冗談のつもりで言った。いつもみたいに「なに言ってんですか」と冷ややかな目を向けられるだろうと思って。しかし、サージュは乗っていた机から降り、サージュの足元に崩れ落ちるように跪いた。 「え…!?」 予想外の反応に戸惑っているとサージュの口はもう元気がなくなったフォスのものを口に含んだ。残っている精液を少しでも吸い取ろうと大事そうに舐め上げる。 はじめの嫌々していた顔はどこに行ったんだ?と首を捻りたくなるほどその姿はゾクゾクと男の興奮をくすぐるものだった。 「お前…っ…全く…いい子だな」 サージュの黒い髪の毛の中に光る一束の光る金色の髪。その己のものと、サージュのものが混じる髪の毛をフォスは愛おしそうに撫でた。 それに反応したサージュが上目遣いにフォスを見上げた。己のものを綺麗にするように舐められ、尻からは己の液が零れている姿。これに興奮しない男がいるだろうか。 やっべぇと思いながら、とろんとした顔サージュに「もう、いいから」と言った。 もう立ち上がる元気すら残っていない様子のサージュをぎゅっと抱きしめて、耳元で「ミーミ。そなたに良い夢を」と快眠に誘う魔法を唱えれば、がくりと腕の中のサージュは力を抜き、力尽きた。 「…全く。お前は、馬鹿で賢い俺の弟子だな」 フォスの呟きは意識を手放したサージュの耳に届くことはなかった。

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