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「まぁ、怖がられる事には慣れてる」  自嘲気味に漏らすと、ヒスイが立ち上がり和室に戻っていってしまう。  すぐに追うべきなのかと逡巡するも、バツが悪くすぐには立ち上がれない。  ヒスイが妖怪であることは間違いないのは分かった。だからといって、すぐにでも取って食われるとは思えなかった。  最初から危害を加える算段だったのなら、もうとっくに食われているはずで、邪魔ならばさっさと追い出せばいいはず。  それに、幸せな記憶が欲しいと言った。思い出せるか分からない相手に賭けのような事をして、直ぐには追い出さないのは、少なからず親切心があるのだろう。  そうこう考えているうちに、中庭を照らしていた白い光は、いつの間にか夕焼け色に変わっていた。  いつまでもこの場所にいるわけにもいかず、天野はゆっくりと立ち上がる。  夕飯の支度をしなければと分かっていた。料理はできないけど、何もしないわけにはいかない。  居候する以上は何かしら役に立ちたいと思う。  ヒスイに頭を下げて、一から教えてもらおうと探しに向かった。

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