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「すみません……いつの間にか寝てしまったようで……」
申し訳無さで、喉が詰まったように苦しくなる。
「別にいい。不慣れなことをしてたんだから」
ヒスイはそう言い残して、広間から出ていってしまう。
怒らせてしまったかと不安に思っていると、ヒスイがすぐに戻ってきて、「いつまでそこにいるんだ」と顔を顰めた。
慌てて、卓袱台《ちゃぶだい》の前に腰を降ろす。二人で向かい合ったところで、食事を始めた。
「食事の用意を手伝えなくて、すみません」
「そんなに謝られてもどうしようもないから。別に怒ってない」
不機嫌そうな口調で言われたが、ヒスイなりの照れ隠しなのかもしれない。
「はい……。あの、この家はヒスイさんが建てたのですか?」
これ以上しつこくすると、本当に怒られそうだと話題を変える。
「そんなわけないじゃん。大工でもあるまいし」
ヒスイが少し可笑しそうに口元を緩めた。
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