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「そうですよね……」  言われてみればそうだと、少し恥ずかしくなって頬が熱を持つ。一方で、ヒスイの表情が和らいだ事にはホッとした。  天野は恥ずかしさを誤魔化すように、箸を進めていく。 「……この家は俺が来た時には、もう建ってたからよく分からない」 「ずっとここに、暮らしてたわけじゃないのですか?」 「俺もここに来て、十数年ぐらいしか経ってない。お前と一緒で、出れなくなった身だから」  天野は驚いて箸を止める。まさか、ヒスイも自分と同じように迷い込んでしまったとは思っても見なかった。 「だから仕方なくここにいる」  ヒスイはそう言ったきり、早々に食事を済ませる。 「洗い物して。茶碗は割るなよ」  天野に釘を刺すと、自分の分の食器を抱えて広間から立ち去ってしまった。  ヒスイと自分の状況が少し似ている事に、ちょっとした親近感が芽生える。それなのに、ヒスイはあまり話したがらずに早々に話を切り上げてしまう。  聞きたいことは山のようにあるのに、聞けないもどかしさはあった。けれども無理やり聞き出そうとして、ヒスイの機嫌を損なうのは気が引けてしまう。  もっと信頼してもらえるようにすれば、きっとヒスイも自ら話してくれるかもしれない。焦って、迂闊な真似はしたくなかった。  今の自分の世界には、ヒスイしかいないのだから……。

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