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 夕食は双子も交えてだったこともあって、賑やかだった。ヒスイと二人の食事も静かで落ち着いていて好きだが、これはこれで楽しくて良い。  記憶がない今は分からないが、自分にも家族がいるはずだ。こんな風に賑やかな家庭だと良いのにと思ってしまう。  そんな気持ちとは裏腹に、体は寒さに震えていた。食欲も少なく、箸が思うように進んでいかない。  ヒスイはそんな天野の様子に、少しばかし眉を寄せていたが特に何も言ってこなかった。  食事を終えて片付けや風呂を済ませると、少しふらつく足取りで自分の部屋へと向かう。 「お兄ちゃーん」 「あそぼー」  ミヨとミコが着物の裾を掴んでくる。 「おい! 大人しくしないなら、出っててもらう」  ヒスイが双子を牽制してくれたおかげで、なんとか自分の部屋に戻ることが出来た。  戻ってきて早々に、布団を敷くとすぐに倒れ込む。  全身が重だるく、熱いのか寒いのか分からない。頭もぼーっとしていて、完全に風邪を引いてしまっていた。

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