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雨が降りしきる中で外に出て、ずぶ濡れになったのが原因だとすぐに察しがつく。
寝ればなんとかなるかもしれないと布団を被り、ガタガタと震えていると部屋の襖が静かに開いた。
熱で潤む視界の中、入り口に目を向けて驚く。
ヒスイが不機嫌そうな表情で、盥《たらい》を持って入ってくるところだった。
天野が慌てて体を起こそうとすると、「馬鹿。起き上がるな」とヒスイに睨まれる。
「……すみません」
謝罪の言葉を口にするのも辛いぐらい、熱が上がっていた。
ヒスイが盥《たらい》を天野の傍らに置くと、「動くなよ」と言い残して部屋を出ていく。
言われなくても、体が動きそうになかった。
呼吸するのも苦しい。浅く早い呼吸を繰り返していると、再び襖が開かれて盆を持ったヒスイが現れる。
「悪かった……」
幻聴なのだろうか……ヒスイが今、謝ったような気がした。
「あいつらをちゃんと止めなかった、俺にも責任がある」
ヒスイは低い声音で言いつつ薬包紙と思わしき包を広げ、粉を湯呑に入れていく。
ヒスイは悪くないと否定しようにも、唇を思ったように動かせない。
眉根を寄せて荒い呼吸を繰り返し、ヒスイをぼんやりとした目で見つめた。
ヒスイは湯呑の中身を箸でかき混ぜると、天野に体を近づける。
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