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 目が覚めると、熱は下がっていた。体は重だるいが昨夜のような、息苦しさはなくなっている。  タイミングを見計らったかのように、ヒスイが部屋に来て「熱は?」と聞いてきた。 「熱は下がったようです。昨日は……ありがとうございます」  昨日の事を思い出し、熱がぶり返したように体が熱くなる。 「まだ顔が赤い。今日は何もするな」  そう言ってヒスイは顔を顰めている。これは熱ではなく、ヒスイに対しての恥ずかしさからだと自覚はあった。 「すみません……」  後ろ暗さと居たたまれなさで、語尾が弱くなる。 「別にいい。後で食事を運ぶから、それまで寝てろよ」  そう言い残して、ヒスイは部屋を出て行ってしまう。  天野はホッと息を吐き出し、再び体を横たえる。  横たわったまま、文机の方に視線を向けると、文机の裏側に何かが貼り付いているのが目に止まる。  何だろうと体を起こし、這うように文机の下に潜り込む。  見上げるように少し顔を上げると、少し茶色くなった白い封筒が貼り付けられている。急激に心臓が打ち付け、思わず唾を飲み込む。  一旦体を引くと、自分が見てしまっていい物なのか思い悩んでしまう。

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