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そこで島民達は、これ以上に被害を増やさないためにも、生贄を捧げることを決意する。
当たり前だが、島民からの選出はかなり困難を極めていた。この忌まわしい森に入って、自らの記憶を差し出すなんて誰もやりたいとは言い出すはずがない。
そんなある時、幸朗の一番可愛がっていた妹のサチコが体調を崩した後に記憶を失ってしまう。
この出来事にショックを受けた幸朗は、自らが行く事を名乗り出た。
病弱な自分では、漁師の仕事は出来ない。ただの穀潰しに成り下がるくらいなら、村人や家族のためにも自分が犠牲になろうと決意する。
それに、大切な妹だけが辛い思いをするのは耐えられない。家族はもちろん反対したが、幸朗の意思は固かった。
森に行く手前から目隠しをされて、島の男達に導かれながら進んで行く。
森に入る時になって男達に「君はこの村を救った英雄だ」と言われ別れを告げられると、幸朗一人で森の奥へと歩みを進めた。
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