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さすがに丸一日上げ膳据え膳は申し訳ないと、天野は夕方近くに床から出た。
多少なり体のだるさは残っていたが、動けないという程でもない。自分の部屋から出て、ヒスイを探しに広間へと向かっていく。
「あー、お兄ちゃんだ!」
「元気になったの?」
ミヨとミコが駆け寄って来て早々に腕を引かれる。
「うん。ありがとう」
そう言って天野も二人に笑顔を向けた。理由はどうあれ、二人を責めるなどという気は起きない。
「こいつらうるさいから、起きないほうがいいんじゃないのか?」
騒ぎ声が聞こえたのか、ヒスイが広間に現れて顔を顰めた。
「大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」
そう言いつつ、心臓は早鐘を打っていた。手紙の件を伝えるのは憚れたが、ヒスイが村を襲っていないと分かってしまった。その事がとても気がかりでならない。
出来る事なら、村の人間にいち早く伝えた方がいいのではないだろうか。
正しければ、あれから八年から九年経っている。またいつ、人間が送り込まれてしまうか分からない。
ふと、苦い気持ちが込み上げてきて唇を噛みしめる。
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