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「そんな暗い顔されたら、説得力ないんだけど」  ヒスイの言葉に慌てて、天野は表情を和らげる。 「すみません。考え事をしてたもので」 「ねぇー元気になったなら」 「あそぼーよ」  天野の腕を掴んだまま、ミヨとミコがクルクルと回り始める。 「お前達の所為なんだから、大人しくしてろ」  ヒスイが嗜めるような口調で、眉根を寄せた。 「大丈夫です。僕もちゃんと言わなかったのが悪いので」  二人が責められるのは可哀想だと、天野はクルクルと回りながら笑顔を浮かべる。  ヒスイは呆れたように溜息を吐き出すと「あいつに似てるな」とポツリと呟くのが微かに聞こえた。  呆れた顔をしていても、微かに寂しげな目をしているのは先入観だろうか。  ヒスイが幸郎の事を思い出し、そんな顔をしているだと思うと歯痒い。  ミヨとミコはヒスイに窘《たしな》められた所為か「ヒスイこわーい」「こわーい」と言って腕を離すと、二人で庭に行ってしまった。 「本当に大丈夫なら、夕飯の支度手伝って」  そう言い残し、ヒスイまで出て行ってしまう。  さっきのヒスイの言葉が気になって仕方がなかったが、聞いて良いものなのか分からない。  もどかしい気持ちを抱えつつ、天野も炊事場へと足を向けた。

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