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夕飯を食べ終えると、ヒスイに促されて先にお風呂に浸かった。
浴室の外からは「ミヨがやる」「ミコがやる」と揉めている声が聞こえてくる。
「お前たち入れすぎるなよ!」
ヒスイの少し語気を荒げた声が聞こえた。
その様子に天野まで不安になってくる。心なしか、お湯の温度が上がってきているような気がしてきた。
湯船から出ようと腰をあげると、「お兄ちゃん」「ゆっくり入ってね」と二人の声が聞こえてくる。
「う、うん」
仕方なく腰を下ろすも、水温が上がる一方でじっとりと汗をかき始める。
足元から迫りくる熱に、恐怖まで湧き上がってきてしまう。
「おい。茹で上がる前に上がれ」
浴室の扉が開かれ、ヒスイが少し息を切らして現れた。
天野は驚きのあまり、呆然と見つめてしまう。
「アイツらは、いくら言っても聞かないから」
確かに外からは相変わらず、キャッキャとはしゃぐ声が聞こえてくる。
ヒスイが視線を俯かせると、「とにかく、早く上がれ」と言い残してそそくさと行ってしまった。
少し逆上せ気味で重たくなった体で、なんとか浴槽から這い出す。
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