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「ないと言えば嘘になる。だからって、認めたくはない」  ヒスイが口を開いた事で、天野は再び視線を向ける。 「認めたくないって、何故ですか?」 「何故って、簡単な事だよ」  自嘲気味にヒスイが笑い「俺は人間じゃない」と続けた。  その一言が痛々しくて、ヒスイの空いていた左手に自分の右手を重ね合わせる。ヒスイは驚いたように目を見開いた。 「人間じゃないと、好いてはいけないんですか?」  酔っているせいなのか、いつもより強気になっていた。  自分がヒスイに惹かれてしまっているのは、薄々気付いている。だからこそ、思われている幸朗に嫉妬に近い感情があった。  ヒスイが幸朗に好意があったのならば、人間である自分にも可能性がないわけじゃない。 「僕は……ヒスイさんが妖怪だろうと、幽霊だろうと好意を持ってます」 「お、おいっ! お前、何言ってーー」 「ヒスイさんの口から幸朗さんの名前が出るのは、正直言って胸が締め付けられるような心持ちです」  勢い余って全てを吐き出すと、冷たいヒスイの手を強く握り締め、動揺しているヒスイを見つめる。

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