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 どう答えれば良いのか分からず天野が黙り込んでいると、ヒスイがポツリと言葉を零した。 「やっぱり不味いな……」 「えっ?」 「感情によって、涙の味って違うから……」  ヒスイの方から話を持ち出してくれたことに、好機だとばかりに天野は口を開く。 「味が違うだけなんですか? 何か体に影響があるとかないんですか?」  少し食い気味になってしまったせいか、ヒスイが微かに息を呑んだ。 「なんでお前が気にする……俺の体だし関係ない……」 「関係あります。僕の涙のせいで、何かあったりでもしたら……」  天野の真剣な表情とは対象的に、ヒスイが目を細めると小さく笑い出した。 「ほんとさ、とんだお人好しだよな」  ヒスイの呆れたようでいて優しげな笑みに、心が揺さぶられ全身が熱くなっていく。  やっぱりヒスイの事を好いているのだと、確信してしまう。好いてるからこそ、ヒスイの為に何かしたいし、役に立ちたかった。それにヒスイは不味い涙を舐めてまで、慰めてくれた……。 心なしか、さっきまでの悲しい気持ちは消え去っている。きっと、ヒスイが吸い取ってくれたからだろう。

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