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 温度の低い指先が天野の浴衣越しに腰に触れ、ビクッと体を震わせると布団に押し倒されていく。  絡ませた舌が離れていき、どちらとも付かない唾液が糸を引いた。天野がとろんとした瞳でヒスイを見上げれば、扇情的な瞳が見つめ返してくる。  ヒスイに耳朶を嵌れ、全身が粟立ち甘い声が溢れてしまう。  流れるように舌が首筋に降りていき、時々吸い付くような愛撫が繰り返されていく。その度に下腹部が熱くなり、違和感が増してしまう。 「あっ……はぁっ……んっ」  器用に帯を解かれ、浴衣の中に手が入り込んでくる。その冷たい手の感触に、自然と体が震える。 「嫌になった?」  ヒスイの囁くような問いかけに、静かに首を横に振る。  再び唇が鎖骨に落とされ、ヒスイの掌が撫でるように腰や腹部を這っていく。 「あっ、いやっ……はぁっ」  浴衣の前がはだけ、月明かりにぼんやりと青白い素肌が晒されていく。羞恥心から全身がまるで、熱に浮かされたようだった。

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