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「……引き返すなら今だけど?」
ヒスイの問いかけに天野は首を横に振って、「大丈夫です」と荒い息遣いと共に吐き出す。
答えを聞くや否やグッと腰を進められ、躊躇のない挿入による圧迫感に天野は小さく呻く。最奥まで穿たれ、つま先からゾクゾクとした快楽が駆け上がった。
「ああぁっ……んんっ」
ゆるゆるとした抽送が繰り返され、その度に総毛立つような悦楽が全身を満たしていく。
再び涙が溢れ出し、頬を伝っていく。こんなにも涙が溢れ出てしまうのは、ヒスイに飲まされた液体の効果なのだろうか。
そうでなければ、こんなにも沢山の涙は流せないはずだ。じっとりと濡れた頬に、自分の黒髪が張り付く。
「はぁっ……もう遠慮なく泣いていいから」
ヒスイの甘い声音と共に上体が倒れ、息がかかりそうな距離に近づく。
「ううっ、はぁっ…ん、ああっ――」
ヒスイのモノが再び奥まで入り込み、中を穿たれる。再び絶頂へと押し上げられビクビクと下腹部を震わせてしまう。堪らずに涙を零すと、ヒスイが唇を寄せて舐め取っていく。
「すごく甘い……」
初めて見せる恍惚としたヒスイの表情を、ぼんやりとした目で見つめる。
「癖になりそうだから、あんまりこういう事はしないんだけど」
そう言いつつも、ヒスイは何度も頬に舌を這わせていく。
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