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 ふらつくような足を動かし、進路を右へと変えていく。  少しだけ気が軽くなったせいだろうか、体への負担を余計に感じてしまい、ザラついた木の幹に何度も手を付きながら歩みを進めていく。  初夏の日差しが容赦なく降り注ぎ、汗は顎から雫となって伝い落ちていた。革靴によって踵は既に擦りむけ、ヒリヒリとした痛みが走っている。  荒い呼吸を繰り返し、少しの希望を胸に抱き懸命に足を動かしていく。  少しずつ土が湿っぽい物に変わっていき、踏みしめる度に僅かに沈むような感覚がある。  やっとの事で開けた場所に出ると、思わず目を見開いた。前方に柳の木と、広い池のようなものが見えてきたのだ。  水がある事に全身から安堵と歓喜が湧き上がり足の痛みも忘れ、もつれるように近づいた。  次第に輪郭を露わにした全貌に、さっきまでの喉の渇きや足の痛みすらも凌駕するような衝撃を受け、茫然として立ち尽くす。  水面に点々と浮かび、桃色に広げられた花弁。その花弁の周りを包み込むような円状の切れ目の入った葉。優美に浮かぶその花は、睡蓮だった――

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