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 突如として激しい目眩と、頭痛が襲いかかり思わず頭を抱え込み低く呻く。  あまりの痛さに涙を流し、しゃがみこもうと膝を曲げた途端に頭痛が治まった。  ゆっくりと顔を上げ、もう一度池を見つめる。  此処に来た時のことを思い出し、天野は自嘲気味に笑みを零す。 ――そうだ。此処には……全てを終えて死に来たのだ。  全ての記憶を取り戻したのだと分かり、一歩また一歩と池に近づいていく。 ――天野 蓮介  死んだ母親が睡蓮の花言葉である「清純な心」であって欲しいと付けた名前だ。  父親を裏切り、妹を逃した。後悔はしていないが、親不孝であることには違いない。  母が付けてくれた名前に反して、ずっと父親を恨んできた。心だけでなく、公家の息子に身を捧げ体までもが穢れてしまっている。  だからこそ、この場所にたどり着いた時、天野はやっと救われるのだと涙を零した。  最期の場所がこの池に浮かんだ母が愛したであろう睡蓮の花と共に、この身を朽ち果てることが出来るのだと――

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