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「こんな事したところで、お前は此処に残らない事ぐらい分かってる。お前はこうと決めたら曲げるような奴じゃないしな……それでもお前が少しでも、躊躇してくれれば……俺と一緒にいたいと思ってくれればなんて望んじまう」  なんか乙女みたいだよなと、恭治は困ったように笑う。何度も見てきたその表情に、グッと喉が詰まったように感じてしまう。  今まで、恭治をそういう目で見てきたことはない。でも今は、少しだけ意識してしまう自分がいた。 「恭治……」  天野が囁くように名を呼ぶと、恭治が少し泣きそうな顔で頬に手を伸ばしてくる。 「蓮介……」  恭治の精悍で男らしい顔つきが近づき、天野は静かに目を閉じた。優しい口づけを受け、体が微かに震える。  慣れない行為に戸惑うも、恭治は優しい手付きで天野の体を擦っていく。次第に啄むような口づけに変わっていき、天野は微かに甘い吐息を零す。  ゆっくりと畳に押し倒され、恭治が覆い被さった。唇が離れ薄く目を開くと、ぼんやりとした月明かりに微かに照らされている恭治の顔が目の前にあった。

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