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其処(そこ)に埋めた」  天野はさすがに呆気に取られ、ヒスイの視線を追うように目を向ける。  池の近くに立っていた柳の木の下には、確かに土が少しだけ盛り上がっていた。既に何年も経っているからなのか雑草が生え、まるで自然の一部として取り込まれていくかのようだった。 「怖くないのか?」  ヒスイが微かに口角を緩め、視線を天野に向けた。何を怖いと聞いているのか分からず、天野は顔を顰めヒスイを見つめ返す。 「俺が生き埋めにした、もしくは殺して埋めた――と思わないのか?」  天野はやっと納得がいった。まさか幸朗の死亡原因を天野が知りうるとは思っても見ないだろう。ミヨとミコとの最初の対面の際に、ヒスイは「死んだ」としか言っていない。天野も口を挟めず、あの手紙を見るまでは知らないままだった。 「手紙……読んだので」  このまま隠したってしょうがないと天野は、諦めたように切り出した。どうせ追い出されるのであれば、ヒスイには伝えておいた方が良いと思えた。 「手紙?」  訝しげな表情のヒスイに、天野は制服のポケットから水に濡れた封筒を取り出す。  すっかり水を吸ってしまっていて、開けたら破れてしまう可能性があった。申し訳無さと罪悪感が一気に押し寄せる。

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