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天野が全てを話した頃には、見慣れた日本家屋が姿を現した。
近づくにつれて二つの小さな影も見え、天野は思わず足を止めてしまう。
「お兄ちゃん!!」
「何処《どこ》行ってたの!!」
ミヨとミコが泣き腫らした目で、天野に飛びつくように駆け寄った。
その姿に胸が締め付けられ、天野は呆然と立ち尽くす。自分の事で頭が一杯で、まさか心配してくれているとは考えてもいなかった。
「……ごめんね」
二人の頭を撫でる手が微かに震えていた。やはり此処に戻ってくるべきではなかったのだ。二人が泣く姿を目の当たりにしてしまったら、どうしても心が掻き乱されてしまう。
救いを求めるようにヒスイを見るもいつものように止めてはくれず、ただぼんやりとその光景を見つめていた。
「もう居なくならないで」
「お家入ろ」
泣き止んでいても浮かない顔の二人に手を引かれ、天野は無言のまま上がり込む。たった半日いなかっただけで、何処《どこ》か他所《よそ》の家に来たような錯覚に陥る。
決意を固めて家を出た早朝。もう二度と戻ってこないと心に決めていた。手紙だって認《したた》めたはずだ。二人には申し訳ないが、やはり此処にはいられない。
父に対する罪悪感は、外すことの出来ない枷《かせ》だ。生きていれば何度だって、その罪悪感が支配していく。
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