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 すぐさま天野も押し倒されると、唇を重なる。乱暴に指で顎を押され唇が開かされ、液体を注ぎ込まれていく。  強烈な苦味に天野は藻掻くも、ヒスイの両手が頭を抑え込み逃げることが出来ない。吐き出すことも出来ず、無理やり飲み込んでいく。 「ううっ……ぐっ……」  飲み込んでも消えることのない強烈な苦味と焼けるような喉の痛みに、天野は(うずくま)り悶え苦しむ。 「な、何を……のませ、たんですか」  苦しげに喉元を押さえ、天野は掠れる声を吐き出す。まさか殺すつもりなのだろうか。視線をヒスイに向けると、和箪笥に持たれ寄りかかって焦点の定まらない目で天野を見つめていた。  最初の時とは明らかに味が違う。こんなので幸せな気持ちなどなるはずがない。それどころか、湧き上がる絶望感と罪悪感。加えて怒りが込み上げ、今にも腸《はらわた》が煮え繰り返りそうだった。  涙が止め処なく流れ出し、天野は唇を噛みしめる。憎いのだ。何もかもが憎くてたまらなかった。 「あの時は此処まで悩まなかった。苦しませるのは見てて辛いものがあったけど、ああするのがアイツにとっても幸せだと信じてた」  力ない動きで天野に近づくと、ヒスイが膝を付いた。 「俺も……お前やアイツと一緒で大馬鹿なんだ」  ヒスイが悲しげに口角を微かに上げ、天野の頬にへばりついた髪を脇に避けた。嫌な胸騒ぎに「やめて」と天野が口にした時には、ヒスイの顔が近づき天野の頬に流れる涙を(すく)っていた。

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