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レイカンタイシツナンデス 2話

◆◆◆◆◆ 沢山、沢山、泣いたと思う。 子供に戻ったみたいに沢山泣いて、 影虎と遊んでいる記憶が頭で流れた。 いつも、側で尻尾を振る影虎。 大好きだった。ううん、今も大好き。 そう思いながらふと、目を開けた。 目を開けると直ぐに飛び込んできたのは徳川の寝顔。 えっ?あれ?って思ったけれど、もしかしなくても俺ってば泣きながら寝たの? 徳川の腕の中にいた。 こりゃ、ヤバイだろ!なんて一瞬考えたけど、徳川の腕の中は安心出来た。 俺より子供で、高校生のくせに何だこの安心感は。 助けて貰っちゃったし。 ベッドは1個だけだし、シーツとか探すの面倒くさいから、 まっ、いいや。 今だけ。うん、今だけでいい。 俺はまた目を閉じた。 目を閉じて直ぐに額にチュッて唇が触れた感触がして、 おやすみ、琳。って聞こえた気がした。 ◆◆◆◆◆ 「琳、ほら、琳ってば起きて!」 身体を揺すぶられた。 「うーん、まだいい」 俺は寝返りをうつ。 「ダメだよ、琳は学校だろ?」 学校? その言葉が脳に達するまでに数秒かかり、 ………………えっ?朝? と目を開けた。 「ご飯出来てるよ」 俺を見おろしている徳川。 「ご飯?」 「うん、ご飯。お味噌汁と、タマゴ焼きと鮭しかないけどいい?あ、もしかして洋食派?」 「和食もすき」 「そっか、良かった」 ニッコリ微笑む徳川。 俺は起き上がり、時計を見る。 6時半かあ……… まだ、余裕で寝れるやん。 俺はポテっとそのままベッドに横になる。 「あーーもう!琳!世話の焼ける」 足音と煽る声が近付くと腕を掴まれ身体を起こされた。 「まだ、寝る!」 「だめ!ご飯!」 「やだ!寝る!」 「あっそ、まだ寝る気ならこのまま犯すよ?」 犯すよ? えっ?いま、犯罪口にしました? 徳川は俺の唇にキスをしてきた。 …………!!! ジーザス!! 慌てて、徳川を押し退けた。 「なにすんだ!このエロ猿!」 俺は唇を腕で隠す。 「おはようのキスだよ」 徳川はニヤリと笑うと俺の身体を横抱きにした。 「こら、やめ!」 また、お姫様抱っことか! 「洗面台に連れて行ってやるよ」 「いい!歩ける」 お断りしても無駄だった。 しっかりと洗面台に連れていかれた俺でした。 ◆◆◆◆ 徳川が作った飯は凄く美味しかった。 つい、おかわりまで……ううっ、俺ってば遠慮ない。 「今夜は何食べたい?琳の好きなの作るよ」 食後のお茶を出しながら聞かれてつい、 「クリームシチュー」 と元気に答えてしまった。 「クリームシチューね、了解」 徳川は俺にニコッと微笑む。 微笑んだ顔は幼くて、ああ、こいつ、子供だったと現実に戻れた。 「俺、直ぐに新しい部屋探すからさ」 「急がなくていいんじゃない?琳は誰か居ないとダメだよ。寝起き悪いし、怖がりだし、ご飯だってちゃんとしたの食べてないだろ?」 ううっ、こいつってば、何て事言うんだよお。 それじゃ、まるで子供みたいじゃないか。 「それに………また、変なのに狙われるよ?琳は霊感体質だろ?」 「そ、それは影虎がいるもん!」 あっ、もんっとか言っちゃったよ。 そのせいかクスッと少し笑われた。 「琳は俺が居なきゃダメだって」 そう言って徳川は俺の頭をくしゃくしゃと撫でて、 「霊以外にも狙われたりしてるしね」 と意味深な事を言う。 「な、なんだよソレ?」 「その内分かるよ」 徳川は笑って誤魔化して、食器を重ねてキッチンのシンクへと運ぶ。 なんだよ、そのうちって? 頭に何個ものクエスチョンマークが浮ぶ俺。 ◆◆◆◆◆ 学校は学級閉鎖になっているから徳川は行く必要ないのに着いてきた。 俺が心配だからってさ。 「徳川、今日は休みだぞ?」 学校に着くと他の先生に声をかけられていたが、 「先生達大変でしょ?雑用しますよ?」 と極上の微笑みで交わしていた。 こいつは………本当に恐ろしい子!! ◆◆◆◆ 雑用をこなしていると、誰かの視線を感じたような気がして振り向く。 あれ? もちろん誰もいない。 徳川でさえも!! 徳川は鈴木先生に雑用頼まれて職員室を出て行ったしなあ。 気のせいかな?

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