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ツイテルンデス 4話
うん?何か、俺忘れてないか?
まあ、いいか。
俺は深く考えもせずに学校へと向かった。
◆◆◆◆◆
「あれ?林田先生、今日はお休みでしょ?」
学校に着くと他の先生に声をかけられた。
サッカー部の顧問の先生だ。
「いえ、鈴木先生に代わってくれって頼まれまして」
「えっ?変ですね。鈴木先生は今日元々休みですよ?」
「へ?」
俺はキョトンとなる。
あれ?変だな。確かに電話あったのに。
「鈴木先生にからかわれたんじゃないですか?」
そう言われ、そうかも!なんて納得してしまった。
たまに鈴木先生は俺をからかってくるから。
「………じゃあ、俺帰ります」
部屋に戻らないとさ小麦心配するよな?
ベッドから降りなければ大丈夫とか……………………………あ、あれ?
携帯………携帯って電池パック抜いたままだ!!
俺は恐ろしい事を思い出した。
あの時は何も不思議に思わなかったんだよ。
なんでだろ?
あんなに怖い思いしたのに。
と、とにかく、戻ろう!!
帰る為に方向を変えると目の前が真っ暗になり…………
俺は気を失ったみたいになった。
「先生?林田先生?」
名前を呼ばれて目を開けた。
目にすぐ飛び込んできたのはどこかの部室の天井。
どこの部室だっけ?
周りを探るようにキョロキョロする。
「どうしたのリンちゃん大丈夫?」
キョロキョロする俺の視界に入ってきたのは田代。
あっ、サッカー部だ。
俺は長椅子みたいのに寝かされていて、身体を少し起こした。
「田代?俺………どうしたの?」
身体を起こして田代をみる。
田代はニッコリと笑って、
「俺が連れてきたんだ」
と言った。
「えっ?田代が?なんで?俺……もしかして、また、倒れた?」
貧血で倒れたんじゃないかって思った。でも、
「ううん、俺がリンちゃんが欲しくて、さらってきたんだ」
ニヤリッと田代が笑う。
なんの冗談?
「さらう?」
「うん、ここでリンちゃんを犯そうって思ってさ」
田代はそう言って俺の頬に手でふれる。
すごく、冷たい手だった。
はいいいいい??
俺の耳がおかしいのかな?それとも、田代の冗談かな?
「田代、そんな冗談は男に言うもんじゃないよ?それに俺は先生だ」
なるべく刺激しないように言葉にする。
本気で言うわけないじゃん?
「冗談だと思ってんの?リンちゃんは」
そう言った田代の目がなんか怖い。
なんだろう?知ってるような?
「リンちゃんはさ……徳川と付き合ってんの?」
「はっ?」
何故に突然、徳川?
「キス………してたよね?徳川と」
はっ?はい?
何で知ってんだよ、コイツ。
「俺、ショックだったよリンちゃん………リンちゃんを初めて見た時から好きだったんだ。なのにさ、徳川と………キスしてた。」
俺を見つめる顔がいつもの、田代じゃなくて、凄く怖い顔になっている。
いつも、ヘラヘラと笑ってからかってきた。あの田代とは違う。
「お前………本当に田代?」
思わず聞いてしまった。
「うん、そうだよ」
そう言うと田代の顔が近付いてきた。
キスされると思ったので顔を背けた。
「なに?徳川とはするくせに?俺は嫌なの?」
田代はそう言うと体重をかけ、俺をその場に押し倒した。
「やっ、」
驚いて声がでる。
「徳川とはしたくせに!したくせに!したくせに!」
俺を見下ろして怒鳴り散らす田代。
凄い形相で、田代じゃないみたいだ。
「部屋の中で徳川とベッドの上でいちゃついてた………俺の方がリンちゃんの事好きなのにさ!」
押さえつけている田代の手は俺の手首を力いっぱい握ってくる。
血の流れが止まりそうだ。凄く痛い。
「いたい………田代、離せよ、痛いって!」
俺は何故か見動きが出来ずに必死にそう訴えた。
「徳川にリンちゃんを離せって言ったのにアイツは離さなかった。俺が見ているのに……」
田代の顔がまた近付いてくる。
「いやっ」
顔を背けようとするけど、動けない。
まるで、金縛りに………
金縛り?
いま、田代は何って言った?
離せって言ったのに?
部屋でキスしてたって………
待って!小麦の部屋は2階だ。
ベランダから見れるわけがない。
そうだよ、見てたって……見れるわけがないよ?
「田代………お前、どうやって部屋の中みたんだよ?」
「見えるんだ。リンちゃんの事を考えると頭が痛くなって……痛くなった後は必ずリンちゃんが見える」
田代は俺の両手を頭の上で押さえつけ、片方の手のひらで俺の身体を弄りだした。
シャツの上から感じる手の感触。
いやだった。
凄く嫌だ。
小麦にも散々触られたけど、こんな風に嫌だとは思わなかった。
キスされても………拒否ろうともしなかった。
「でも、いいんだ。リンちゃんと今からセックス出来るからさ……リンちゃん痛くしちゃうかも?それは仕方ないよね?俺より先に徳川とベッドでエッチな事してたんだもんね」
田代はそういうと、どこから出したのかロープで俺の両手を縛りあげた。
「お前、ロープなんて持ってんのかよ?」
縛られているのに聞ける俺はまだ余裕あるのかな?
「願うとさ、出てくんの。だって……リンちゃんも願ったら俺の前に現れたんだもん」
「は?」
「俺の自由に出来るみたいだよ?この世界は」
なに…………言ってんだよ、田代は?
「だから、リンちゃんを俺のモノにすんの」
田代は俺を縛りあげた後にシャツを握ると一気に引き裂いた。
ボタンが小さい音を出して弾け飛んだ。
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