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ツイテルンデス 7話
◆◆◆◆◆
…………で、田代の家に着いた。
一軒家だ。そこそこデカイ。
小麦は慣れた感じでチャイムを押す。
中から女性の声。
「徳川です。」
対応してきた相手に名乗ると、しばらして玄関のドアが開いた。
「徳川くん?久し振りね。こんにちは、元気にしてた?」
対応に出た声の持ち主で田代の母親かな?
顔立ちが似ている。
そして、その人は俺に軽く会釈して、
「もしかして、琳ちゃん先生?」
と聞いてきた。
琳ちゃん先生?なんじゃそりゃ?
「林田琳です。こんにちは」
頭を下げる。
生徒の保護者だもんね。ちょー、ドキドキするよ。
「わあ、ほんと、可愛いのねジャニーズにいそうね」
きゃっきゃっ、とはしゃぐ女性。
なんだろ?このテンションは?
「ココロが喜ぶわ!どうぞ、あがって!」
心喜ぶ?
あ、違う。田代って下の名前は心だったな。
俺達は家の中へと通され、2階へと案内された。
ドアをコンコンたたき、女性はドアを開ける。
「うわっ!ちょ、勝手に開けるなよ母ちゃん!!」
中から、慌てたような声。
田代の声?だよな?あ、やっぱり母親だったか。
「徳川くんがきてるのよ」
「はあ?徳川?なんで?」
嫌そうな声。
「それと、琳ちゃん先生」
「はあっ!!リンちゃん?嘘つけ、母ちゃんリンちゃんが来るわけねえーだろ!」
部屋の中から顔をだす田代の姿。
で、俺をみて、
「ええっーーー!なんで?なんで?リンちゃんが」
とテンパった。
「もう!うるさい!」
声が大きすぎて母親に頭を叩かれる田代。
「お茶とお菓子持ってくるわねえ」
母親はいそいそと降りていく。
その後ろ姿に「おかまいなく」と声をかけたのは俺じゃなくて小麦だった。
くそ!俺だって、言うつもりだったんだい!!
「久し振りです」
小麦は田代に声をかけて、俺を手招きして部屋の中に入った。
◆◆◆◆◆
えっーーと、俺ってすんげえ勘違いしてた。
俺の目の前にはベッドの端に座りモジモジしている田代が居て、どうみても生きている人間だ。
数々の変な現象のせいで田代は死んでいるって思ってしまってた。
生きてるもんな田代?
あ、そーだよ!小麦!小麦のせいじゃん!
小麦が実体ないとか言うからさ。
ちらりと小麦を見る。
これまた端正な横顔でいらっしゃる!
小麦のせいに……って、思ったけど良く考えたら田代が死んでるとか1言も言ってないもんな。
俺の早とちりかあ……
「ね、ねえ、リンちゃん……なんでウチ来たの?リンちゃん担任じゃないし、サッカー部の顧問でもない」
田代の質問にドキっ!えーと、何しに来たんだっけ?
「見舞いだよ、ねっ?林田先生」
小麦が俺を見て微笑む。
ああ、こんな時小麦は頼りになる。
小麦の助け舟に、「う、うん、お見舞い」と頷く。
「まじ?嬉しい!!電車の事故に巻き込まれてついてないって思ったけど、いいや!リンちゃんがお見舞い来てくれたからさ」
田代はすげえ、ニコニコして俺を見ている。
ああ、こんなに懐いてたっけ田代って?
「じ、事故……」
あ、そうか……田代は俺と同じ電車に良く乗っていた。巻き込まれてたのか。
「うん、事故。リンちゃんも巻き込まれてないか心配したんだぜ?良かったな、巻き込まれなくてさ」
た、田代………お前良い奴だなあ。
「け、怪我は?」
田代は見たところ大怪我とかはしてないみたいだ。
「打ち身だけ。でも、事故のせいか頭痛が酷くてさ」
だから学校を休んでいたとニコッと笑う田代。
大怪我じゃなくて良かった……他にも巻き込まれている生徒の中には入院している子もいる。
「田代先輩……その頭痛する時って………林田先生の事、考えてました?」
いきなり、小麦が変な質問をする。
俺も驚くけど、田代はかなり驚き、そして、何かテンパっている。
「な、なんだよ?徳川?だいたい、お前なんでリンちゃんと一緒に来てんだよ!!さっきまで夢でお前見てたから何かムカつく」
テンパっているせいか何なのか、田代が逆ギレ?あ、いや違うか、興奮してる?
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